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第八話 空を飛ぶって気持ちいいよね

(さて、今日も依頼を受けますか。)

俺はそう思いながら食堂に向かっている。まだ、異世界に来て三日目だというのにもう、この世界になれてしまった。本当はなれちゃダメなんだろうけど。


 食堂に着き、俺は一人、空いている席に座る。食堂にはたくさんの魔物がいるな。ゾンビみたいなアンデット族、龍の姿がかっこいいドラゴン族、地球にもいそうな動物の姿をしている獣族、見た目が完全に鳥で、羽がある鳥族、魚はいなかった。これは意外だ。

(さて、何を頼もうか)

サンドイッチを頼んだ。うん、なかなか。ちょっとパンが固いけどな。


食事を終え、依頼を受けにメイナのところへ。

「さて、今日はどんな依頼があるんだ?」

「真平様の実力ですと…これなんてどうでしょう?」

そういって見せてきたのは[家の修理の手伝いをしてくれ]という依頼書だった。昨日のメイナの特訓のおかげで何とか読める。場所とかはまだまだだけどな。

「じゃあそれにするよ。場所はどこだ?」

「昨日と同じ、アルマゾーンです。エリアの入り口に立っているらしいですから安心してください。」

ついでにエリアというのは日本で言う市町村だ。ついでにここはサターンゾーン。魔王がいるからそうなったらしいがネーミングセンスのなさがあらわになってるな。

「わかった。じゃあ行ってくる。」

「あっ、ちょっと待ってください。」

メイナに呼び止められる。何の用事だ?

「なんだ?」

メイナが小声で話しかける。

「昨日、アネル様から聞いたんですが巨大ケルベロスを倒したって本当ですか?」

巨大ケルベロス?ああ、あいつのことか。

「ああ。本当だぞ。」

「なんていうか、真平様は本当、すごいですね。」

「なんでだ?」

「巨大ケルベロスっていうのはゴールドランクまでの人では歯が立たない魔物なんです。プラチナランクの人でも一人で倒せるかどうか……」

あれ?俺、やらかした?それにそいつを倒しにアネルさんが言ったってことは……

「アネルさんってまさかプラチナランク?」

「そうですよ。」

うわあ。なんか俺すごい人と話していたんだな。

「それにプラチナランクはこのギルドに2人しかいません。ダイアモンドランクに至っては今現在、この世にいません。」

ギルド最強の人とはなしてたのか。って、これ、本気でやってしまったな。俺のチート力がバレバレ……ああ………。

「この力を内緒にしたかったんだけどな。もうみんなに知られてるんじゃね?」

「大丈夫ですよ。アネル様も黙っておくって言ってましたから。」

「本当か!?」

つい、大声を上げてしまった。魔物たちが一斉に俺のほうを向く。うわあ、恥ずかしい。メイナもくすくす笑ってるし、もうヤダ……

「本当ですよ。心配なさらないでください。」

「あ、ああ。じゃあ今度こそ行ってくる。」

「道に迷わないでくださいね。」

アネルさんはメイナに全部話したんだな。畜生。超恥ずかしい。


アルマゾーンにつき、依頼主に会う。

「おう、来てくれたか。それにしても、まさか人間が来るとわな。」

このオッチャンはドラゴン族だ。かっけえ。体長は5メートルほど。オッチャンは「ついてきな。」と言って歩き出した。俺もあわてて後を追う。

「人間がここに来ることなんてあるんですか?」

「いや、ほとんどないな。基本、人間は王都界に住んでいるからな。」

ほとんど?例外って誰だ?俺だ。

「俺以外で魔界に住んでいる人間っているんですか?」

「いるさ。だが、そいつたちは魔物をどんどん狩っていく、いわゆる「ハンター」と呼ばれる奴らだ。王都界の連中は魔物を敵対視していてな。魔物を見つけ次第、殺すのだよ。」

酷い連中だ。俺が見つけ次第ぶっ殺してやりたいな。まあ実際、殺す勇気はないが。

「そうなんですか。」

「ところで、お前さんは何者だ?」

「へ?」

いきなり聞かれてしまった。俺が何者?どういうことだ?

「ただでさえ人間が少ないのにお前は魔王様のギルドで生活している。また、お前さんはとんでもない常識知らずだ。こんな話、だれでも知っておるよ。」

俺はぎくりとした。そうだ。すっかり忘れていた。

「実は記憶がほとんどないんです。三日前以前の記憶が俺には全くないんです。」

怪しい嘘だ。こんなこといったってわかってくれるはずがない。

「あ、そうなのか。じゃあしょうがないな。」

いいのかよ!!軽いな!!このオッチャン!!


そして家の前についた。でかいな。家というより屋敷だ。まあ、けっこうボロボロになっているがな。

「さて、お前さんには屋根の修理をやってもらいたい。これ、ハンマーと木材。」

オッチャンが近くに置いてあったハンマーと木材を俺に渡す。

「屋根にはどうやってのぼるのですか?」

オッチャンがにやりと笑う。

「乗れ。」

「へ?」

「俺の背中に乗れって言ったんだよ。」

どういうことかなと思いつつ、俺は黙ってオッチャンの背中に乗る。翼が少し邪魔だな。って翼……あっ、そうか!!!

「いくぞ!小僧!!」

そういってオッチャンが飛び始めた!!すっげえ!!!超気持ちいい!!!!!!

「すっげえ!!」

だけど、とんでいたのはわずか10秒。すぐに屋根の上についた。

「もう終わりか~、残念だな~。」

「なに、終わったらギルドまで送ってやるぜ。」

「本当に!?」

「ああ。だから、頑張れよ。」

オッチャンが親指を立てた。やべえ、オッチャン超かっけえ。あ、仕事しなくちゃな。


それにしても屋根はひどいな。何気なく渡された木材の量も半端ねえし。え~と屋根の穴に木材をっセットして…釘は?と思ってたらポケットに入ってた。びっくりだ。

「じゃあ一回目。よっ!」

俺は左手で釘を押さえ、右手でたたいた。


ガンッ!!!!!


「いってえええええええええええええええ!!!!!!!」

え!?そんなに強くたたいてないのに釘が一気に刺さったよ!!

「だらしないわね~。」

セラに突っ込まれる。

「いや、でもさ、おかしくね?俺そんなに力入れてないのに一気に釘が刺さったんだぜ?」

「それほど、あなたの力が強いってことよ。左手で押さえて正解だったわね。押さえてなかったら貫通していたところよ。」

ひえええ~~~~~~。あぶねええええええ!!!!!

とりあえず俺はできるだけ小さい力でするようにした。それでもかなり強いんだが。だって、釘が一発で刺さるんだぜ?時間もこれで一気に早くなるし、よしとするか。


所要時間3時間、通常ではおかしいスピードで俺は終わらせた。

「オッチャーン!終わったぞー!!」

「なっ!?もう終わったのか!?」

うん。しっかりと終らせたぞ。オッチャンが空から確認しているな。

「………まさか本当に終わったとわな。」

「早いだろ?」

太陽はまだ真上の位置にある。12時くらいか。

「よし!文句なし!!乗れ!小僧!!」

「よっしゃあ!!!」

俺はオッチャンに乗せてもらい、ギルドへ向かう。空から!!風が気持ちいいぜ!!!少し気を抜いたら吹き飛ばされそうだけど気にしない!!


あっという間だった。ざっと2分ぐらいか。だけど気持ちよかったなあ。また乗ってみてえ。

(そうそう、依頼報告に行かなきゃな。)

俺はギルドに入る。受付をしているメイナが驚いた顔をしているけどまあいいか。

「メイナ~終わったぞ~。」

「えっ!?あっ!はい!!わかりました!!報告書をもらえますか?」

あれ?もらうの忘れてた?と思いきやポケットの中に入っていた。あのオッチャン何者だ?

「はい。ああ、それともう一つほかの依頼を受けたいんだけど。受けれる?」

「受けれますけどそんなこと誰もしませんよ?」

「まだ早いし、いいかなと思って。」

「まあ、確かに早いですよね。じゃあ、この依頼書の中から選んでください。」

俺は一番最初に見えた、依頼書を手に取った。よし、これにしよう。俺が選んだのは[店を手伝ってほしい]というこれまた地味な依頼だった。

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