第六話 初めての依頼
今も俺は歩いている。まいったな、ここどこかわかんねえし。魔物一匹いない。どっかにいないかな~?
「グルルルルル……」
狂暴モンスターだったらいるな。でもこいつに聞いたってな~。
「ガウッ!ガウッ!!」
「こっちくるなって、よ!」
左ストレートを一発、相手の腹に打ち込む。俺はもともと右利きなんだが、手加減する必要があるため、左でパンチしている。
依頼はすでに一時間ぐらい経っている。アルマゾーンという場所がわからないため、ここら辺をうろちょろしているのだが、見つからないな。
なお、狂暴モンスターとの戦いはこれで20回やった。さすがに加減もわかり、気絶させる程度で殴っている。
「グルルルルルルルル……」
また、ケルベロスか、狂暴モンスターといっても、コイツ以外は見ないな。なんでだろ?
「はいはい、威嚇してないで、かかって……」
ケルベロスが出てきた。ええ、出てきましたとも。なんか普通のケルベロスのおよそ20倍はあるんだが……なにこれ?でかすぎだろ。
「グルアアアアアア!!!」
「危ない!!」
ヒュッと白い光が俺の横を通り抜ける。その光はそのまま巨大ケルベロスの足へ向かっていき、足を切った。
「グオオオオオオ!!!」
「ちょっと!真平君!?何やってるの!?」
背中に白い翼が生えている。間違いない。アネルさんだ。
「いや…道に迷っちゃって…。」
「急いで逃げなさい!こいつ、厄介だわ!!」
たしかに、足を切られても立ち上がるなんて、なかなかしぶとい奴だな。巨大ケルベロスはアネルさんに噛みつく。
アネルさんはうまく避けられたと思っていた。しかし、間違いだった。右手だけ噛まれている!
「しまった!!」
「アネルさん!!!!!」
「早く逃げなさい!!真平君!!!」
しかし、俺はアネルさんの言うことを無視する。そして俺は暗黒剣を抜く。アネルさんを傷つけるやつは許さない。
「許せ!!」
ヒュッっと一太刀。ケルベロスは真っ二つになって崩れ落ちた。不思議なことに、後悔していない。なんでだ?
「す…すごい。真平君、あなた何者?」
「私も聞きたい。教えて。」
アネルさんとセラに聞かれる。知らねえよ。異世界に来た瞬間からこんなチートになってしまったんだよ。しょうがねえだろ。
「ただの人間ですよ。それよりもアネルさん。アルマゾーンってどこですか?」
アネルさんは口をぽかんとあけている。まあ、そのあとにゆっくり教えてもらったからまあ良しとしよう。まさか、反対方向だとわな~。
依頼を受けて約2時間。やっとアルマゾーンについた。
「おせえぞ!!死んだのかなっておもっちまったじゃねえか!!」
依頼主であるホヘイさんに怒られる。ちいさい体をしていて、ひょっとこみたいな仮面をしている。
「すみません。道に迷ってました。」
「ならしょうがないな。ほら、これが今日運んでもらいたい荷物だ!」
軽い人だな~。と思っていたら、今日見た巨大ケルベロス並みの量の宅配物があった。殺す気ですか?
「ここに、届けてほしい人の住所が書いてあるから。」
そういって手書きのメモを渡される。読めない。
「セラ、おまえはよめねえのか?」(小声)
「読めるわよ。一番最初の住所は…」
助かった。なら、セラに案内してもらおう。力がチートっていいな。簡単に荷物を持ち運びできるし。
6時間後。やっと最後だ。俺は配達物を抱え、メモの一番最後に書いてあった住所に向かった。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。ハンコ、押しますね。」
ハンコをちゃんと押してもらい、俺は郵便局へ戻る。入口にホヘイさんが立っていた。
「終わりましたよ。」
「ああ、ご苦労さん。これが報酬だ。」
ホヘイさんに袋を渡される。中には古い紙とマニーがたくさん入っていた。
「10000マニーとあと報告書だ。ありがとな!」
「ありがとうございます!」
そういって、俺はギルドに向かって歩く。ギルドには迷わず進めた。
「おかえりなさい。安田様。」
メイナが受け付けに立っていた。
「おう。ただいま。これが今日の報酬。」
俺はそういって10000マニーの入った袋を手渡す。25%、ギルドの資金となったがそれでも7500マニーを手に入れた。
「では、報告書を見せてもらえますか?」
「わかった。」
そういって、俺は報告書をメイナに渡す。
「あっ、えっ!?た、たった6時間で終わらせたんですか!?すごく速いですね!!」
ギルドのメンバーがどのくらい速いかわからないが速いと言われたからには速いのだろう。
「もう行っていいか?メイナ。」
「あっ、失礼しました。はい、大丈夫です。依頼、ご苦労様でした。」
「じゃあ、今日から言葉を教えて。」(小声)
「わかりました。今から2時間後、安田様の部屋に訪れます。」(小声)
よし。これでOKッと。さて、風呂入って、飯を食べて、勉強の用意でもするか。
2時間後、宣言した通りにメイナが来た。
「こんばんわ。それじゃあ、始めますか。」
「おう、頼んだ。」
そして、授業が始まった。
―スパルタとか聞いてないよ。メイナ。