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第二話 異世界に行く前に

どんどん、俺は暗闇に落ちていく。あやめちゃんはおろか、幸平も見当たらない。ただただ、一人でどんどんと落ちていく…。

ガンッ!!

「ッーーーー!!!!!」

いきなり頭にすごい衝撃が走った。俺は声を出すことすらできなかった。

「ハァッ!ハァッ!……ここ、どこだ?幸平?あやめちゃん?」

気が付くと真っ暗な空間。ただ、床は白く、ある程度の距離は見える。ただし、そこには何もない。

「何なんだ……?まさか、死んだとか?いや……まさかな……。」


―こんにちは。


「はい?」


―う~ん、もう一度。こんにちは。


なんでもう一度言うんだよと内心突っ込みたくなったがそんなことを言っている場合ではない。

「こ……こんちは……」

とりあえず俺は挨拶をした。挨拶をしなければ話が進まないと思ったからだ。


―はい、こんにちは。


とりあえずたまりにたまっていた疑問をぶつける。

「ここはどこだ!?お前は誰だ!?なぜおれがこんなところにいる!?」


―落ち着いてください。一個ずつ答えますから。


「そんなもん、落ち着いて……」

急に殺気を感じた。俺の背筋から冷や汗が流れ出る。


―落ち着けって言ってんだよ。その細い首、ぶった斬るぞ。


なんだ?目の前には何もない。もちろん、後ろにも横にも上にも下にも何一つない。それなのに妙な感覚だ。まるで、俺ののど元に剣を突き付けられているような感覚だ。

「うっ……」


―わかればいいです。


「……プハァ!!ハァッ!ハァッ!」

急に殺気が解けた。首元を触ると俺の血がついていた。


―では答えます。まず一つ目、ここは異世界の入り口、とでも言っておきましょうか。


「異世界の……入り口…?」

いつの間にか疲れが飛んでいた。それもびっくりするような速さで。


―はい。そうです。あなたは今から異世界に行ってもらいます。


「なぜだ!?なぜおれが行かなければならない!?」


―あなたは選ばれたからです。この私によって。


「どういうことだ!!俺は異世界で何をすればいいんだ!!」


―それは自分自身で見つけてください。それでは二つ目ですが、あとで教えましょう。さて三つ目ももうお分かりですね。ほかに質問は?


「幸平は!?幸平はどこにやった!?」


―幸平?誰ですか?それは?


「俺の弟だ!!俺と同じく穴に吸い込まれた!!」


―変ですね……。私がお呼びしたのは安田新平さん。あなたただ一人です。


なんだと?ならなぜ、幸平は穴に吸い込まれた?俺と一緒じゃないのか?

「あんたが巻き込んだっていう可能性は?」


―それはないです。あの穴は一人しか吸い込めませんから。


「幸平……。」

幸平、お前は今、何してる?あやめちゃんと一緒にトランプでもしてればいいんだが……。


―なら、ほかのものに呼ばれた。その可能性はあります。いずれにせよ、弟さんに会うためには、異世界へ行く必要があるようですね。


「……わかった。おれを異世界に行かせてくれ!」


―わかりました。


すると目の前に大きな白い扉が現れた。おそらく、というかほぼ確定で異世界に通じる扉だろう。

「じゃあ、いくぜ。」


―待ってください!


「なんだ!?」

早くいかせてくれ!早く幸平を見つけたいんだ!


―あなたは武器も持たずに行くつもりですか?異世界には魔物もたくさんいるのですよ。


「あ……。」

なるほど。今から異世界に行くんだもんな。頭の中がいっぱいでそんなこと考えもしなかった。


―武器をあなたに授けましょう。


すると俺の後ろに黒い刀が現れた。俺はそれを拾い上げる。


―これが私の姿。名を「暗黒剣」といいます。


黒い刀から声が聞こえた。だがいちいちびっくりしてたらきりがないので驚くそぶりを見せずに行った。

「暗黒剣?邪悪なオーラ?みたいなのがあるんだが…。一言で表すと…闇?みたいな。」

友達の家で何回かゲームをやったことがあるのでわかる。少なくとも、悪い奴がよく闇の力を使う。ということは…。

「俺って悪い側?」


―いいえ、確かにあなたには闇の力を使ってもらいますが、どう使うかはあなた次第です。


「そうか。ならいいんだが。」


―そして……


暗黒剣が光りだし、中からまるで妖精みたいな女の子が出てきた。

「あたしセラ!!何かわからないことがあったらあたしに聞いて!!」

その女の子、というよりかは妖精か。その妖精はそう言い放つと、突然妖精の体が光りだし、ミサンガの形になった。

「あたしの姿が見られるとやばいから、ミサンガになってるわ!!」

そして俺はミサンガを自分の左手首につける。そして疑問になったことを言う。

「切れないのか?」

「大丈夫!!」

ミサンガから声が聞こえてくる。大丈夫というなら大丈夫なんだろう。よし、信じよう。そしてもう一つ。

「なんでお前の姿が見られるとやばいんだ?」

「私はセラ!!名前で言って!!」

「悪い。セラ、なんでセラの姿が見えるとやばいんだ?」

「それは後々知るから大丈夫!!」

あっ。てめえ、面倒くさがりやがったな。

「じゃあ!異世界へレッツゴー!!」

静かにその扉が開きだしたのを見て、俺は歩きだした。異世界に通じる扉をくぐると、その扉は静かに崩れ去った。

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