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第6話 20歳?逃亡者?俺には関係ない。

 俺は、サバンナだか、アマゾンだかの奥地にいた。奥地といっても、喫茶店の一番奥の机だが。

 俺の目の前には、二人の男女が座り、隣には華奢な赤いメガネをかけた女の子が座っていた。目の前の二人は、男と女であり、男の方が秋山タイチといい、女の方が横山ハルというらしい。正直、いきなり自己紹介をされ状況は飲み込めていない感は否めない。

 秋山タイチとかいうヤツは、シルバーフレームのメガネをかけて、高校生には珍しい七三分けで、どことなくエリート風な印象を受けた。横山ハルとかいうヤツは、長い髪の茶髪で、ロングスカートをはいており、どことなく森本先輩とは正反対でヤンキー風な印象を受けた。

「それで、コイツはどうするんですか。まったく……。前見て歩かないから、こんなどうしようもない一般人とぶつかってしまうんですよ」

 シルバーフレームを、右手でくいっと持ち上げて言った。

「あ、あ、あれは……」

 状況がよく飲み込めない。

「あの時は、むしろ助けたと……いうか……あのままにしていたらいずれ体育倉庫であのネズミモドキにやられていた可能性もあるわけですし……」

「本当、コイツがモテなさすぎるのがいけないのよ。あたしが、下駄箱に落ちてたあの手紙を見つけてなかったらあんた死んでたわよ」

 長い髪の女が、少々がんを飛ばしてきていた。

「ええと……状況が飲み込めないんだけど、つまり、俺って下手してたら死んでたってこと……でいいのかな?」

 俺は、目の前の二人に尋ねてみた。

「そういうこと! 」

 目の前の二人は、声を揃えて返事を綺麗に返してきた。

「その……、新藤くんは、女性関係に悩まれているみたいで……。で、そのことが奴らにばれて、いわゆるハニートラップをやつらが仕掛けてきてまして、それにハルちゃんがギリギリのところで気づいて、なんとか防ぐことができたわけなんですよ」

 そうだったのか……、となるわけもなく。なんが、よくわからなくなってきたし、説明不足な点が多すぎる気がした。

「えっと、話の腰を折って悪いんですが……どうして、俺が狙われているんですか?そんで、奴らって誰?んで、あなたたちは何者……?」

「君が狙われている理由は…… 」

 シルバーフレームは、また、くいっとさせた。

「それは…… 」

 シルバーフレームは、下を向いたあとこちらを見た。

「なんでしょうね。わかりません」

「はい……? 』

 わからないってどういうことだ。わからないって。意味も無く命が狙われるってどういうことだよ。

「ですから、わからないのです。どうして君みたいななんの取り柄もなさそうな普通の高校生が奴らに狙われるのかが。こっちが知りたいくらいです」

 まぁ、彼の表情をみるかぎり本当のような気がした。なぜなら、両手を左右にあげて、アメリカ人がやりそうなため息をついたポーズをしてながらこっちを見ていたからだ。こんなもので信じてしまう俺もどうかしてるのか。

「まぁ、それはこっちでも調べておくから。そんで、奴らって話だけど、それは敵のことさ。私たちのね」

 長い髪の女は俺にまたしても鋭い目つきで言ってきた。

「話の流れからしたら、そうだろうな。で、君たちは魔物だかなんだかの駆除をやっている非公式な部活みたいなものじゃなかったの?」

「あ……ごめんなさい……それ、嘘です」

 申し訳なさそうに、隣に座っていた赤いメガネの女の人は言った。

「私たち、いや実は目の前の二人は逃亡犯でして。なんだか昔いた所でやっていた実験について重大な秘密を知ってしまったらしく、それを止めようとしたけれど、上の圧力でできず、こちらに逃げてきたそうです」

 はぁ。なるほど。少々理解した。先輩の説明には落ち着きを感じる。

「そういうこと。そんで、さっきは二年とかいったけど、あれも嘘。もう私たちとっくに成人してるからね。年齢的には20代前半なんだけど」

 長い髪の女は、してやったりな顔をしていた。どうやら、若く見えていることを誇らしそうにしているらしい。たしかに、どうみても高校生にしか見えないのだから。一応、俺は、驚いたような表情を浮かべてあげた。

「コイツの若作りの件はおいといて、本題だが、どうやら僕たちが所属していた組織は、この高校で実験を行う気だったみたいなんだ。高校生を被験体にね。どうやら、この時期の若者は、生命活動が著しく活発になるらしく、特殊な人間を作るには最適な人材環境という研究結果が出たみたいなんだ。」

 シルバーフレームはそういった。ふむふむ……。

「それで、奴らはなにを考えたか。どうやら、この国の若者を改造し、国を強くし、さらには世界でのイニシアチブをアメリカから取り返そうとしようとしているらしい」

 でも、それは国の競争力をあげるためには良いことなんじゃないのかと俺は思った。

「良さそうに見えるが実態は違う。戦争だ。アメリカに戦争を吹っかける気なんだ。なぜなら、その改造というのが筋肉を鍛えるとか頭脳を鍛えるとかではなく、見た目そのものを変えて、化け物として改造するからだ。たぶん、先日君たちが倒したのはその実験過程で使用したハムスターが変化したものだろう」

 ……。

「えっと、じゃあ、あのネズミモドキがこの学校に悪い流れをつくって、体育の授業中にけが人を続出させているとかいう話は……」

「そんなもの嘘に決まってんじゃん。怪我なんて普通にするわよ。ははは」

「ご、ご、ごめんなさい……」

 高笑いする長い髪の女と、申し訳なさそうに赤いメガネの女の人に謝られた。


「とにかく、僕たちは奴らの計画を阻止するためにここに逃げて、ここまできた。どうやら、ここが最初のターゲットだと聞いていた。幸いなことに、僕たちは新入社員だったからあまり顔がバレてはいない。ハムスターが来たということは、そろそろ改造した人間を送り込んでくるかもしれない。僕たちは、この学校を守らないといけない。そして、奴らを叩くんだ。この手で」

 シルバーフレームは、今までとは打って変わり俺を鋭い目つきで見ていた。

「そうか……。それは大変ですね。ご苦労様です。頑張ってください。応援してます」

 俺は、とぼけてみた。というか本音がでた。だってそうだろう。俺は、無関係な一般市民だ。どうして、俺がその組織を倒すために協力をしないといけないんだ。まぁ、命は一回狙われたけど、一回だけだろう。もうないはずだ。

「いや、でも君は我々の秘密を知ってしまった。それにいつ君の命がまた狙われるかわからないじゃないか」

 シルバーフレームは、真剣だった。

「秘密だったらなにも言わない。他言はしない。それに、命なら自分で守れるから結構です。じゃ、俺はこのへんで」

 俺は、出て行こうとした。するととなりに座っていた赤いメガネの女性に袖を引っ張られた……。

「あ、あ、あなたの……力が、ひ、ひ、必要な……」

「大丈夫です。俺なんかより、あなたたちの力はずっと強い。俺なんてほっといてとっととその親玉を倒しちゃえばいいんですよ」

 そういって、俺は彼女の手をそっと袖からはなした。

「では、そういうことで。あ、代金はお願いしますよ。俺呼ばれただけですしね。」


 俺は、そう言って店を出たのであった……。



 

 

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