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第4話 そして、彼女は突き刺した

 俺の目の前には、ほうきの柄のようなものを持った黒い髪にウェリントン型の赤いメガネをかけた女の子が立っていた。

 その奥にはは、巨大なネズミのような形をした物体が存在していた。

「そうだ……あれ。ここは……」

 俺は、そういえば、どうしていたんだっけか。

「だ、大丈夫でしたか? 」

 赤いメガネの女の子が俺に声をかけてきた。

「ああ、大丈夫……」

「よかった……。ここで怪我をされては呼んできた意味が無いですからね。あ、これkらは敵の攻撃を防ぐことはできそうにないのでこれを使って敵の注意を引きつけてください。」

 そういって、俺に下敷きのそうな透明な物体を手渡してくれた。ノートの下にはさむアレである。ただ、なにやら緑色のゲージのような表示がある。これは、なんだろうか。

「あ、そのゲージは使用回数です。そのシールドは5回しか使えないので注意してくださいね」

 なんともあっさり大事なことを言われたような気がした。

「それじゃ、私は相手の急所を突きに行きますので、それまで相手の注意を引きつけてくださいね」

 そう言って、彼女は敵の右側の方へと走っていったのであった。

 

 さて。これからどうしよう。

 依然として、俺の前には可愛くもない大きいネズミがいる。そういえば、何かに似ている……。そう、どちらかというとドブネズミとかハツカネズミ系のネズミではなく、ハムスターに近いのだ。ハムスターの品種はあまり知らない。似ているとわかるわけだから……。あ、アイツだ。ジャンガリアンだ。ジャンガリアンに似ているのだ。

 と、閃いたと喜んでいるとヤツは、もう一発、吐いてきやがった。

 俺は、とっさにさっき渡された下敷きを自分の前に盾のようにして構えてみた。そういえば、使い方を詳しく聞いていなかったがこれで良かったのだろうか。そう考えている間にも火の玉は俺に迫っていた。

「んー、たぶん何か足りない。スイッチとかないだろうか」

 俺は、その透明な下敷きをクルクルとまわしてみたが、やはりなにも無い。そして、とうとう火の玉は俺の前に来ていた。

「ヤバいッ!! 」

 やはり、盾を構えるような体制に身構えてしまったのだが、先ほどとは異なり、いきなり透明な下敷きに文字が現れた。

「シールド……ON? 」

 考えている暇などなかった。俺は、とっさに現れたその「ON」というボタンを押した。

「うわッ! 」

 すると、いきなりシールドが光りだし、大きな音とともに目の前に大きな透き通った水色の傘が現れた! 

 火の玉は、その傘に弾かれ、俺は直撃を免れた。そして、はじかれた火の玉は体育倉庫のバレーボールに今度は引火したのだった。


 俺は、ふうと息を吐いた。そして、水色の傘は消えてしまい、ゲージも一つ減っていた。彼女の言ったとおりだった。残り、4回。この間に彼女があの巨大ネズミを倒さない限り、俺に命はないということか。頼むから早くしてくれ……!

 そういえば、彼女はどこに行ったのだ。敵の右側に走っている姿は見たが、その後は見てはいないのだ。俺は、あたりを見回してみたが見当たらない。探している瞬間、巨大ネズミが雄叫びをあげながら頭を縦、横に振っていた。

「えい! 」 

 なにやら、また華奢ではあるが大きな声が、体育倉庫に響いた。

 よく見ると、彼女は巨大ネズミの頭のてっぺんにいた。そして、頭のてっぺんに先ほど持っていたほうきの柄のようなものを突き刺していた。どことなく、伝説の勇者が伝説の剣を引き抜くような体制に見えた。しかし、今は、引き抜くのではなく、刺したわけだが……。

 巨大ネズミは、気味の悪い叫び声とともに目の前に倒れた。そして、水蒸気のようなものが巨大なネズミの体から吹き出し、気がつくと巨大ネズミの体は小さくなり、普通のハムスターのサイズに戻っていた。

「なんか、可愛くなっちゃいましたね」

 ハムスターを拾い上げて、森本ユキは俺にしゃべりかけた。

「そ、そうですね……」

 正直、俺はそれどころじゃない。さっきのはなんだったんだろうか。それが頭から離れない……。

「あ、もしかして……放心状態とかなにかですか? 」

 そのとおりですという表情を向けた。それに反応したのか、彼女は自己紹介をしはじめた。


「私は、森本ユキ。高校3年生です。この仕事? んーバイトですかね。これは、2年生の頃からやっていて、実は私も引き継いだくちだったりします。部活のようなバイトのような曖昧な活動です。他のメンバーもいたりします。今度紹介しますね。」


 あぜんとした顔をしていたのだろうか。たぶん、そんな感じだったと思う。あなた意外にまだこんなひとたちがいるのかと。俺は、こうして彼女たちと知り合ったのだった。


 って、俺やる前提かよ。



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