第一節
見渡す限りの、黒。
音もなければ風もない。
ただ在るのは、自分だけ。
何も見えない何も聞こえない。
ふと、その黒の中に光が射す。
よくわからないけど―そう、本当に自分でも理解しがたいけど―その光に手を伸ばす。
そして―
少年は、目覚めた。
手をまっすぐ、そう、主人を起こさんとする目覚まし時計に向かって、伸ばしていた。
「うるさい・・・」
その容姿から想像できるような、静かに、よく通る声で、少年は呻いた。
整った顔立ち、黒曜石の輝く瞳、冷たいような、寂しいような表情。
少年は時計を見た。
長針と短針が午前9時を示す。
窓の下では鳥がさえずり、人たちが路を行き交う。
少年はベッドから身を起こし、紅い前髪をかきあげた。
「遅刻・・・かな」
少年は壁にかかったカレンダーをふと見た。
10月15日(日)大安
「そっかー・・・休みか・・・・」
なんとも間の抜けた声をだし、少年はそのまま布団に倒れた。
数秒後、その部屋には彼のいびきだけが響きだした。
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