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想起に見る夢。(念の心象風景)
吹きぬける風は、まるで昔話をするように、身体の奥深くまで、伝わってくる。
暖炉の色に染まった家の中。
知っている。
これは、遠い昔のキオクの色。
――すべては、幻覚でできている。
風に揺られて、再び意識は、吸い込まれた。
いづれは、このはかない記憶も、過ごした日々も消滅してしまうのだろう。
永遠というものがないように、自身の存在があやふやである限り、
己は幻というまどろみの中で、1日1日死んでいく。
成長するこを拒み、しかし、身体はゆっくりと成長する。
再び、瞳を閉じる。
――体はゆっくり死へ向かって成長している。