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釘と鋲の回転螺旋は踊る(骸の心象風景)
カタカタと輝く光は、深い闇。
瞳は目覚め、光に満ちる、空の釘。
眸は微睡み、闇に落ちる、海の鋲。
棘の蔦、からまる鳥の鳴き声に魅せられて、
波のさざめくは、空に舞い散る翼と共に、こぼれる釘。
虫は跳び、唄う歌は貝殻のささやき声のよう。
漂う漂う、ただただ漂う波の音。
刺の縄、もつれる蝿の羽ばたきはぼんやりと、
風の揺れるは、海に乱れ飛ぶ翅と共に、うかべる鋲。
鳥は飛び、謡う詠は悠久にせせらぐ香のよう。
廻る廻る、回る回る、連なる階層。
世界の端に打ちつけて、釘と鋲の回転螺旋はいつまでも踊りつづけ。
カタンカタンと刻み、世界は俄かに軋み、コロンコロンと朽ちていく。