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踊るダンジョン左遷  作者: 辺理可付加
大脱走! ダンジョン前署大怪獣パニック
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帰ってきて小田嶋マン

「大変な目に遭ったぞ」

「ホントですよ」

「いつものことじゃない」


 午後になって課へ戻り、コーヒーでひと息。

 係長に残酷な現実を突き付けられつつ、疲れを癒していると


「おっわ!」


 唐突に上総がデスクで声を上げた。


「どうした。宝くじで3,000円くらい当たったような声出して」

「もうちょっとデカいリアクションだったと思うんスけど。それよりこれ見てくださいよ!」


 上総は横向きに持っているスマホをオレの前に突き出す。


「仕事中にゲームしてたんじゃないだろうな?」


 まぁ昼休憩返上で働かされたりするのがオレたちだ。

 エロいの見てるわけでもなければ、暇なときに多少寛ぐのは構わないが


 映っているのはニュース速報だった。

 その内容は



「おお!!」



「なになに?」

「どうしたんです?」

「ちょっと、私にも見せなさいよ」

「音出してくれ音」


 大の男二人が驚けば、周囲もなかなか気になるらしい。

 課員たちが続々集まってくる。


 上総がBluetoothイヤホンを切る。

 途端にやや低めの女性アナウンサーの声が響く。



『江東区に現れた巨大モンスターは現在、首都高速9号深川線に沿って西へ移動中! 近隣住民の方々は念のため避難してください!』



「なんだって?」

「巨大モンスター!?」

「エラいこっちゃ」


 皆口々に脳みそ使ってない言葉を吐くなか、画面が中継に切り替わる。

 映っているのは、



『ギャアアアアアン!!』



「なんか、怪獣映画で見たぞ……」



 プテラノドンのバケモノみたいなサイズの翼竜。

 いや、プテラノドンのサイズをよく知らないから、これがバケモノかは分からんが。


 だとしても、現代日本に翼竜がいる時点で大問題だ。

 野生動物の絶対値としても確実にヤバい。


「上総。念のため聞くが、そういうオモシロ動画じゃ」

「ないっスよ。公共放送っス」

「公共放送のオモシロ番組ってことは」

「諦めてください」

「おいおいおいおい。日本終わったわ」


 オレたちはダンジョン課だけあって、異常なモンスター自体は見慣れている。

 しかし一方で、小田嶋じゃないんだからドラゴンとやり合ったりしない。

 つまりは東宝映画サイズのヤツなど専門外だ。


 結果、大騒ぎするでもなく、余裕があるでもなく。

 なんかひたすらシュールな空気感が場を支配する。


 全員が順次顔を見合わせ、誰も特に考えを持ち合わせていないと確認すると


「夏菜奈さ〜ん!」


 めずらしく静かにしていた粟根がパソコンに泣き付く。

 どうやら小田嶋に連絡を取っていたようだ。


「ニュース見てますか!?」

『見てますよぉ〜。クソワロタ』

「笑い事じゃな〜い! 今どこ!? こっち来られないんですか!?」


 彼女はオレと違ってまだ復帰していない。

 メンタルの方は回復したそうだが、実質ワンオペでロクに有給も使えない身。

 勝ち取った休職を使い尽くすらしい。


『どこって言われると〜、私は今、南紀白浜(なんきしらはま)に来ています! 見て! この砂浜! 水平線! ウヒヒヒヒヒ!』

「おい、おまえが通話してるの本当に小田嶋か? こんな感じだったか?」

「昼間っからボトル3本目に突入してますね」

「療養満喫してくれて何よりだよ」


 パソコンなのでテレビ電話らしい。

 オレも画面を覗くと、赤ワイン片手にゴキゲンな小田嶋が映っている。

 元配信者だけあって無駄に画角がいい。


『お土産は梅干し買って帰りますからね〜』

「わぁい♡」

「え、オレ梅干し苦手なんスけど」

『ならん。食え』

「ノオオオオオ!!」

「私はじゃがバターのバター代わりに乗っけるのが好きかなぁ」

「僕はお茶漬けですね。課長は?」

「たたいて細切りの山芋と和えたり、生姜焼き用の豚肉に塗ってネギやゴボウ巻いたりな」

「日置係長は?」

「焼酎にドボンよ」

「おまえら、そんな話しとる場合か」


 水崎さんを皮切りに、今度試してみたいレシピが出てくるのは結構だが。

 本作は『美◯しんぼ』でも『ダ◯ジョン飯』でもないのだ。


「あぁ、そうだったそうだった」


 我に帰った粟根が上総からスマホを受け取り、パソコンへ向ける。


「夏菜奈さん! これCランクに出てくる『エアロドン』だと思うんですけど!」


 やはり元Sランク探索者の見識を伺いに連絡したのだろう。

 いかんせん、すぐ目先がブレるだけで。


『んー、そうだねぇ。見た目の特徴は一致してるね』

「でも!」

『一点を除いて』

「ですよねっ!?」


 Cランクっていったら、オレたちが自分で入れるDの次だ。

 そこにこんな大怪獣とかダンジョンやっぱりおかしいよ、と思っていたら



『エアロドンは、こんなサイズにはならない。せいぜい高さ3メートル未満』



 そうでもないらしい。いや、それでもじゅうぶん驚異的サイズだが。

 しかしこれがそのアラン・ドロンだかでないなら、それもおかしい。


「待て。アレがダンジョンのモンスターじゃないってことは、あんなのが地上の生物ってことか!?」

『うーん』


 小田嶋は思案げにグラスの中のワインを干す。


『ダンジョンは定期的に新種を出す、ってこともありますけども』


 そんな話もあったか。

 となると、それはそれで別の疑問、そもそもの疑問が湧いてくる。


「だとしたら、どうしてあんなのが都会のど真ん中にいるんだ。デカすぎてCランクからDランクに上がるゲートも通らないぞ」

『壊されてるって報告は?』

「ない。そもそもあんなのが地上に解き放たれたら。受付には常田さんがいるんだ。即通報されるだろう」


『一瞬で粉砕されてなければね』


「……」

『……』



「「『「「「「「……………………」」」」」』」」



「上総ァ!! 今すぐダンジョン行くぞ!!」

「はいっ!!」


 すごく嫌な予感がして課を飛び出そうとしたそのときだった。


「はい。はい。承知しました。はい。失礼します」


 いつの間にか、デスクの電話で通話していた課長がこちらへ振り返る。


「全員注目!」


 彼はパンパンと二度手を叩く。


「出動しようとしている二階と上総には悪いが、仕事だ」

「しかし」

「警視庁はあの怪物をダンジョン原産のモンスターと断定。



 ダンジョン前署ダンジョン課は総出で早期解決に当たれ、とのことだ」



 ライオンですら苦労したのに、すぐに更新せんでもらいたい。

お読みくださり、誠にありがとうございます。

少しでも続きが気になったりドキドキしていただけたら、

☆評価、ブックマーク、『いいね』などを

よろしくお願いいたします。

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