6話
「じゃあその噂の真相を探ってあわよくば武器を持ち帰ってきてほしい。ってことですね」
「おっしゃる通りです。話が速くて助かります。」
「でも僕一人で大丈夫でしょうか」
どんなものかわからない以上一人で探すのにも限界がある。
しかし、そういわれるのが分かっていたのだろう。
「安心してください。もちろんあなた一人に行かせることはありません。入って来なさい」
そういうと
「はっ!失礼いたします!」
後ろの扉が開き振り返ると女性二人が部屋へと入ってくる。
「私の娘であるレナとそのお付きであるロジェです。それぞれ自己紹介をしなさい」
可愛らしいドレスを着たレナと呼ばれた女性がお辞儀をする。
「私は王女のレナ・デラム・ルメラと言います。レナとお呼びください」
「レナ様のお付きであるロジェ・ラーヌだ。くれぐれも王女様に粗相のないよう」
威圧的な声で自己紹介をされたため少し後ずさってしまう。兜をかぶっていて顔は見えないが一緒に行動することに納得がいっていないんだろう。
「いけませんよロジェ。これから共に旅に出るのですから。この場にはいませんがもう一人あなたと旅をしてくれる人がいます。」
もう一人はどんな人なんだろう...女性だけだとしんどいんだけど
「さて私はもう一つの要件をお伝えしなければなりません。ロジェ、レナ、先に部屋から出ていてください」
「かしこまりました。失礼いたします。」
と二人がこちらに一礼し、後ろの扉から出ていく。それを見計らい女王が話しかけてくる。
「...今のレナを見ましたか?」
「まぁ...」
そう、彼女は...
「レナはあなたに似て幼いころから感情を閉ざしてしまっています。どうにか改善できないかと色々試しましたがどれも効果がありませんでした。それを改善する方法をあなたに探してほしいのです。」
これがもう一つの聞いてほしいお願いなんだろう。
「僕自身がただでさえ感情がうまく表せないでいるのに、他の人を改善するなんて無理だと思いますが。」
「分かっています。しかし、同じような境遇の人が一人でもいる。それだけでも違うと思うのです。共に旅に出て過ごすことで少しでもあの子の心が開けたら...」
あぁ...この人は僕のお母さんと一緒だ...
「これは女王としてのお願いではありません。母親としてのお願いなのです。」
ただただ子供が大切なだけなんだ...。
「...分かりました。どうなるかは分かりませんが...」
「ありがとうございます。それでは外でレナ達が待っています。退室しなさい。」
「はい。失礼いたします。」