2話
重い足取りで住宅街を歩いていると前方から歩いて来る近所の主婦達とすれ違う。
すれ違いざまにひそひそと陰口を言う声が聞こえるが無視し歩き続けていると家にたどり着く
「ただいま」
うす暗く物静かな家に帰りを伝える。
「おかえりなさい、荷物を置いたらリビングにいらっしゃい。話があるわ」
帰った音が聞こえたのか、珍しく玄関まで出てきてそう声をかけてくる。
「…分かった」
玄関横の階段を上ってすぐの自分の部屋の扉を開く。
机と椅子、ベット以外何もない必要最低限を表しているかのような、殺風景な部屋に荷物を置きリビングへと向かう。
リビングに入ると椅子に座っている母親に反対側へ座るように促される。
「話って何?」
そう聞くと
「あなたの義務教育が終わったからこの家から出ていきましょう、
もう今までのように苦しむ必要はないわ」
と今までの悲惨なことを思い出しながらもこれからに向け感慨深けにそう言い切った。
「そっか、、、」
ようやくか、、、と思うがうまく感情を表現することが出来ない
「ごめんなさいね、私に力があればもっと早く出ていくことが出来たのだけど」
「ううん、大丈夫だよ」
今まで母さんがいなければ生きてくることが出来なかったであろうこと理解はしている
だがいかんせんすべてが遅かった、だって自分はもう壊れてしまっているのだから
「帰ったぞ!ゴミども!」
その声に二人してびくっと肩を震わせる
「帰ってきたわね、今日の内に話を付けるからあなたは部屋にいなさい。」
「わかった、、」
父親とすれ違う際今日は幾ばくか機嫌がいいのか文句や舌打ちなどされたり言われることもなく通り過ぎ、部屋へと戻る。