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チュートリアル?

サクサク進めたいなぁ〜(世迷言)

〈まずは杖でスライムを倒しましょう〉


 光で視界が遮られた数舜が過ぎ瞼を上げると、見知らぬ草原に立っていた。

 風が布越しをに肌を撫で、草の匂いを運ぶ。空から降り注ぐ光と熱が僕を包む。手が無機質な感触を掴んでいる。視覚と聴覚以外何も感じなかった先程の空間とは打って変わり、何もかもが完璧で、完全な現実を再現していた。


 僕はこの世界を数字の羅列だと信じられるだろうか。


「え、あー杖でスライムを倒す、だっけ。杖で叩くってこと?」


 記憶に間違いがなければ僕は魔法使いだったはずだけど……イメージと違う。てっきり呪文でも唱えて火の玉を飛ばすんだとばかり思っていた。


〈質問に回答。

その通りです、魔法使いの基本的な戦い方は遠中距離からの魔法攻撃で間違いありません。それとこれは基本動作の確認も兼ねていますので〉


 ナチュラルに思考を覗かれていて変な気分だが……。きっと彼女に従わなければ先に進めないのでおとなしくアップルパイ()でスライムを叩く。抵抗せず大人しく叩かれたスライムはベチャッと凹むものの、すぐに元のフォルムに戻った。叩かれたはずのスライムはプルプルと静かに揺れていた。


〈動作に異常はありません。

 戦闘を継続しましょう。叩かれたことで怒ったスライムが攻撃をしようとしています。杖で防ぐか避けてみましょう〉


 強めにプルプルと震えだしたスライムが胴体をめがけて飛び込んでくるが、遅いので余裕で避けることができた。


 普通にスルーしているが、僕が今握っているSFなデザインの―――四捨五入したら鉄パイプみたいな―――ものが杖なのだろうか。そうすると今の僕の恰好を客観的に見たらチンピラ強盗とそう変わり無い気がしてならない。


〈次は魔法についてのチュートリアルです。

 魔法はジョブが「魔法使い」である、または「魔法」と名前に付いたスキルを所持している場合に使用できます。基本となる発動方法は、口頭で呪文を詠唱するか頭の中で詠唱するか、等です〉


 引っ掛かるところがあるけど今はいいや。


〈では説明を踏まえて隙のできたスライムに魔法「スパーク」を撃ち込んでみましょう〉


 頭の中でスパークと唱える。それと同時に……


「スパーク」


 声に出して唱える。すると火花が2()()散った。

 スパークを受けたスライムは光の粒子みたく散り散りになって消えた。その瞬間に『経験値を獲得しました』とアナウンスが流れた。


〈モンスターを倒した際には経験値とドロップアイテムが与えられます。その時ドロップアイテムは自動的にストレージに入りますが、ストレージには容量があるので許容量以上のアイテムは収集できません〉


 はーい。


〈戦闘に関連する基本的なチュートリアルは以上で終了となります。

プレイヤーの方々にはこの世界についての説明を受ける権利があります。如何なさいますか〉


「僕に必要なら聞かせて」


〈それではどうぞお聞きください〉


 どうやら彼女は説明とやらを僕にとって必要と判断したらしい。


〈この世界では戦闘や生産、学習をすることで経験値を得ることが出来ます。得た経験値が規定量を超えることでレベルが上がります。レベルの上昇に伴ってあなた方はあなた方が望むままに成長し、より高次元的な存在へ、或いは低次元的な存在へと変質していくことができるでしょう〉


 高次元へというのはなんとなく分かるが、果たして低次元へと成長とはどういう事なのだろうか。


〈人間の街や国等の人口密集地の多くにセーフティーエリアと呼ばれるモンスターの近寄らない領域が存在します。

プレイヤーはその領域内においてNPC(現地住民)に対し例外を除いて危害を加えることができません〉


 安心安全の設計です。


「プレイヤーは守られないんだね」


〈ニコッ〉


 態々(わざわざ)口に出して誤魔化してくれる彼女は優しいのだろうなぁ〜。……寝泊まりする場所の治安には気を付けよう。


〈現地住民と呼ばれる人々はNPCであっても不死ではなく、蘇ることもリセットされることもありません。

NPC(彼等)も命あるものに変わりありませんから、当然の事です〉


 もしNPC一人ひとりが君くらいリアルな人格を持っていたら、なかなか残酷な設定じゃない?


〈……、コホン。最後に、質問を一つ受け付けます〉


 最後の質問というので、機械音声のような彼女に問う。


「もしかしてもっと流暢に喋れるんじゃない?」


〈さて、どうでしょうか。そうかもしれませんね?〉


 と、彼女は要領を得ない答えを人のような声で答えた。


〈あなた方がどのような結末に辿り着こうと、それは私たちの望む結果です。ですからどうか最後まで、楽しい夢を見させてください〉


 立体ホログラムのような彼女は、それだけを言い残して電源を落としたみたいに居なくなった。


 草原に取り残された僕は少し離れたところに見える街へ向かい、着いてからログアウトをした。

読者プレイヤーの皆様、お読みいただき感謝致します〉



2024/04/27 色々修正たぶん完了

(違和感等々あれば教えてほしい……)


不甲斐ない私ではあるがよければ付いてきて欲しい。

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