決戦(ルベタ編④)
3人のうちのだれか一人でも倒せれば戦いはずっと楽になるはずだ。
ベーガラは鞭による中距離攻撃が得意なようだ。盾を装備しているのはあいつだけなんだよな。守備力は他の二人に比べて高いとみるべきだろう。
タハマは素早さと両手のナイフを使った接近戦が得意なタイプか。攻撃の手数は最も多く、危険な相手だ。
ケパーダは槍を使って中距離を保っている。攻撃の手数ではベーガラやタハマより少ないものの攻撃力は侮れない。
3人は散開して互いの邪魔にならない位置からボクの動きを注視している。
まずは、《俊足》を使って加速してベーガラの背後をとる。体を半回転させつつボクとの間合いをとろうとするベーガラだったが、大賢王の杖で頬を撲られて痛みに表情を歪める。
できることならこのまま一気に攻めたいところなんだけど、タハマとケパーダが動く。
タハマが右手のナイフで切りかかってくる。それを姿勢を低くしてかわし、お返しにと大賢王の杖を振りかざす。だが、タハマをとらえることなく空振りしてしまった。その隙を逃さずタハマの左手のナイフが閃く。
紙一重で回避に成功する。が、今度はボクの背中にケパーダが槍が迫る。考えるよりも先に跳躍した。槍はボクの足のすぐ下の空間を突く。
そのまま着地するのは危険なため、《飛行》を使って空中を移動して3人との間合いをとる。
「させん!」
追撃してくるベーガラに対してボクは左手に溜めた魔力で火炎系下位魔術を放つ。それを盾で防いだベーガラは鞭で反撃するが空中を移動し続けていたボクには僅かに届かない。
ボクは杖の魔力を使って雷撃系下位魔術を繰り出す。しかし、ベーガラを庇うように立ちはだかったケパーダは防御魔術でダメージを軽減する。
「そら、そら、そらぁ!」
持ち前の素早い動きで間合いを詰めてきたタハマが両手のナイフと蹴り技を織り混ぜて攻めてくる。防御魔術をすることで最小限のダメージにとどめているが、いつまでもこうしているわけにはいかない。連続して技をだし続けるタハマだったが一息つくために後退する。
そうはさせまいと追撃にでようとしたが槍を構えたケパーダが立ち塞がる。ボクは左手から神風系中位魔術を放つ。ケパーダは再び防御魔術して防ぐ。その一瞬を利用して跳躍したボクはケパーダの頭上を飛び越し、《飛行》を使って最も後方で戦況を見極めていたベーガラに迫る。
「なっ!?」
間合いをとろうとしていたタハマを追いかけていたボクがベーガラを標的にすることは予想していなかったのだろう。3人は揃って僅かに反応が遅れた。
それでも充分な時間だ。空中を滑るように移動し、同時に大賢王の杖に氷をまとわせて氷槍を作る。
恐怖に表情をひきつらせるベーガラの横腹を氷槍が切り裂く。
「ぐぁぁぁぁ!!」
盾による防御も間に合わず、右手に持っていた鞭を落とし、絶叫するベーガラ。血が吹き出す傷口を押さえて両膝をつく。
振り返り様に振るった氷槍がベーガラの首を切断する。辺りはたちまち血の海となり、その中に息絶えたベーガラの遺体が沈む。
氷槍に付着した血を振り払い、タハマとケパーダに対して身構える。二人は一様に青ざめていたが戦意を喪失しているわけではなさそうだ。
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