決戦(ルベタ編③)
「なっ!? こいつ、どこから出てきてんだよ!」
壁をスライドさせて現れたボクにテーブルを囲んでいた男たちが慌てたように立ち上がり、各々の武器を手に身構える。鞭と盾を持った筋骨隆々とした日焼け男、両手にナイフを持っている細身で長髪の男、アフロヘアの男は槍を手にしている。それ以外の防具は昨夜の男たちと同様の物を着用していた。今回はこの3人が相手というわけだ。
「てめぇがルベタとかいう魔王だな!?」
鞭の男が今にも飛び掛かろうかというくらいの姿勢で確認してくる。
「そうだよ。君たちはスヴェインの仲間だよね?」
「クッハッハッハ……! よくぞ聞いた。そんなに気になるのならば冥土の土産に教えてやろう。俺がアサシン三兄弟の長兄ベーガラ!」
鞭の男が名乗る。
「同じくアサシン三兄弟の次兄タハマ!」
続いてナイフの男が名乗る。
「同じくアサシン三兄弟の末弟ケパーダ!」
最後にアフロヘアの男が名乗った。
「はい、ご苦労さん。で、やっぱり戦うことになるのかな?」
大賢王の杖を構えつつ、一応は確認しておく。
「当たり前だろうがぁ!」
最初に動いたベーガラの鞭が何もない床を打つ。
「ちぃ!」
攻撃をかわして接近してきたボクの大賢王の杖による一撃を盾で防ぐベーガラ。
「兄貴から離れやがれ!」
ケパーダの槍がボクを襲う。が、上体を後ろへ反らしてかわす。その流れで後方宙返りを決めて槍を弾く。
「きぇい!」
着地した瞬間を狙ってタハマが右手のナイフで切りつけてくる。それを杖で受け止めたところに左手のナイフの突きが繰り出され、ボクの右頬に一筋の切り傷を残す。咄嗟に体をずらしていなければ直撃していただろう。
ここは一度距離をとるために飛び退くと同時に雷撃系下位魔術の射つ。ベーガラは弟たちを守るように立ちはだかると盾で雷球を受け止める。ダメージはある程度軽減されているようだが片膝をつく。その背後からケパーダとタハマが飛び出してきた。
ケパーダの槍がボクの腹部をとらえた直後、タハマが左右の手に持ったナイフで斬撃を仕掛ける。魔力で防御魔術することで致命傷にはならなかったが鮮血が少しばかり飛散した。でも、傷はそれほど深くない。
予想よりも強い。いや、個々の強さなら大したことのない相手だ。しかし、この3人の巧みな連携は厄介だな。まずはこれをなんとかしないと。
『無様で情けないことだな。これだけの強力な肉体と武器・防具があるというのに……』
またしてもリバス様の嫌みな小言が聞こえる。少しは黙って見守っていてほしいものだ。
「けっ、意外とやるじゃねぇかよ」
「そうでもない。仮にも魔王を名乗っているのならばこれくらいは当然だ」
ボクの実力を少しは評価しているタハマの発言をベーガラが否定する。仮にもってなんだよ。こっちは3対1の不利な状況で戦ってるんだぞ!
『まさか、自分は一人で戦ってるんだから仕方ないなどと甘えた考えをしてはおるまいな?』
図星を指摘されてしまう。
『やはりな。よいか。戦場では何が起こるかわからん。一人で多数の敵を相手に戦うことなど珍しくもない。まして、単身で敵地に乗り込むのならば、一人で多数の敵と同時に戦うのは当然だ。それとも、そんなことも想定せず単独での進撃を自ら提言するほど愚かであったのか? 今更そのようなことを考える余裕があるならば乗り切ることに頭を使ってはどうだ?』
……たしかにリバス様の言う通りだ。この作戦はボクが進言したんだ。自分の甘えた考えが恥ずかしい。だけど、そんなボクを信じてこの重要な役を任せてくれたみんなのためにも負けるわけにはいかない。絶対に勝利しないと!
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