決戦(ルベタ編②)
目的の洞窟に到着したボクは先の戦いのダメージを癒すべく小休止をとることにした。このまま突入を強行するのはリスクが高いと判断したためだ。ここからはゆっくり回復することも難しくなるだろう。大賢王の杖の魔力を利用して回復系下位魔術を使う。体から痛みがひいていく。
『あの程度のモンスターを相手にこれだけダメージを負わされるとは情けないものだな。魔王として恥ずかしいとは思わぬか?』
「リバス様は、あいつがガボじゃないといつから気付いてたんです?」
『最初からだ』
「だったら教えてくれてもいいじゃないですか」
『甘えたことをぬかすでないわ。あれしきのことに気付かぬことこそ貴様が未熟者である証拠と知るがよい』
うぅ、そう言われてしまうと反論できない。だけど、いつかはリバス様にも認められるくらい強くなってみせるさ。決意を固くして領主邸へと続く通路を進んでいく。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
《暗視》の効果により明かりがない洞窟内も問題なく進む。居住エリアを抜け、さらに奥を目指す。
「ここだ」
通路の突き当たりの壁を調べる。壁に取り付けられた取っ手を持ってゆっくりと持ち上げる。壁は意外と軽く、さほどの力を入れることもなく動かすことができた。
少しだけ上にスライドさせて隙間から物置部屋の様子を窺う。室内に置かれていた物はすっかり退けられていて、ガランとした空間となっていた。
『どうやら、我らがこの部屋から侵入するのを予測しておったようだな。まぁ、それも当然か』
部屋の中央部では、ワインの瓶とグラスが置かれたテーブルを囲むように3人の男たちがそれぞれ椅子に腰を下ろしている。
「こんな地下で見張りをさせておいて安物のワインしか用意しねぇとは、スヴェインの旦那もケチ臭ぇよな」
「だいたいよぉ、ここから潜り込んでくると思うなら通路を封鎖しちまえばいいじゃねぇか」
「まったくだぜ。こんな所で安物のワインなんか飲んでも美味くねぇってんだ」
男たちは口々に愚痴をこぼす。
「しかし、魔王を殺れれば名を上げるチャンスだよな」
「ああ。俺たちなら相手が魔王だろうと恐るるに足りねぇ」
「しかもスヴェインの旦那から特別手当も出るって話だ」
自分たちの実力によほどの自信があるのだろう。男たちは笑みを浮かべながら会話を続ける。
『勝手なことを言うではないか。あの程度の者なぞ早々に蹴散らしてしまえ』
不快そうなリバス様に後押しされ、勢いよく壁をスライドさせ、ボクは男たちの前に姿を現す。
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