表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様の大冒険  作者: 美山 鳥
第8章 フォラス解放戦
94/330

決戦(ルベタ編①)

 翌日の早朝、東の空が白む前に洞窟を出発した。そして現在、リバス様と初めて会った小さな浜辺へとやってきていた。


 ここで瀕死のリバス様の吸収されたことで肉体を失い、魂はリバス様の身体を依り代としている。最弱のモンスターとして常に狩られる側だったボクが今では魔王としてフォラスの命運を左右する戦いに身を投じているのだ。そう考えると運命のようなものを感じてしまう。


 『なにをしておるのだ? さっさと行動しろ。それともこの件から手を引くか? それもよかろうて』


 まったく……。感慨にふける間くらいあってもいいじゃないか。これから命懸けの戦いをしようってのにさ!


 「はいはい。手を引くわけないじゃないですか」


 少しだけふてくされたように言うと、海中へと潜って《水中呼吸》を発動。続けて《水中移動》を併用して島の断崖沿いにある隠し洞窟への入り口を目指す。残念ながら、本日は快晴とはいかなかった。曇天が広がっている。しかし、波は穏やかで海中の移動は問題なくスムーズに進んでいる。


 (ん?)


 何かが前方から近付いてくる。目を凝らして待ち構える視界に大きな影が見えてきた。


 (あれは!?)


 見覚えのあるそれに熱いものが込み上げてくるのを感じる。あの巨大魚はガボだ!


 (生きていたんだね!!)


 それこそ水中を移動する際のガボの姿だったのだ! ボクは両手を広げて胸に飛び込んでくるガボを迎える。むこうもボクとの再会を喜んでくれているのだろう。みるみる近付いてくる。……それにしてもちょっと勢いがありすぎるような気が?


 (むごぉ!!)


 巨大魚はものすごい勢いで石のように硬い額をぶつけてきた。感激してくれているのは嬉しいんだけど、これは痛いよ。


 (ガボ、一旦落ち着こう!)


 水中で声を出すことができないため、ジェスチャーで伝える。今度は速度を落としてボクの横へとやってきた。


 (ガボ……)


 硬い鱗に覆われた体に触れようと手を伸ばす。


 (むがぁ!!)


 あと少しで触れるという時だった。巨大魚はその大きな尾びれでボクを叩きつけてくる。島の断崖まで吹っ飛ばされてしまう。


 考えてみれば無理もない。ガボはボクを助けようとしたために死にかけたんだ。そりゃ怒ってるよね。でも、あんなに優しかったガボにしては妙な気もする。


 (まさか!?)


 ボクの脳裏を嫌な予感が浮かんできた。スヴェインが何かしたのだろうか。以前のようなモンスターを凶暴化させる毒物か? だとすれば意のままに操るのは難しいはずだ。なら、洗脳の類か? くそっ、なんとかしないと!


 『随分と困っておるようだな』


 焦るボクにリバス様が話しかけてくる。が、水中にいるため返事することはできない。


 『では、よいことを教えてやろう。あれはガボではないぞ』


 へ? なんですって? ボクの思考が一瞬だけ停止する。


 (ぐばっ!)


 その隙に巨大魚の頭突きを受けてしまった。断崖と巨大魚の頭部に挟まれて全身の骨が軋んだかのような感覚に襲われる。


 『何をしておる、愚か者。あれはギガントフィッシュというモンスターだ。ガボはその姿を模していたにすぎん』


 う、嘘だ……。それじゃボクは見ず知らずの相手に好き勝手やられていたのか。


 ギガントフィッシュはボクから一旦距離を取ると再加速して突撃してきた。だけど、ガボじゃないとわかれば遠慮はしない。ボクは大賢王の杖を構えて氷槍を作り出し、迫ってきた巨大魚を一刀両断する。


 (無駄なダメージを受けてしまったよ……)


 一撃で敵を葬り去り、氷槍を解除する。必要以上の疲労感に耐えながらボクは洞窟を目指して移動した。この先が思いやられる……。

いつも読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ