報告
「魔王だって!?」
偵察から帰ったボクの報告を受けたトゥナムは驚きの声をあげた。当然だろう。スヴェインの勢力に魔王が加担していれば戦局は大きく変わるのだから。
「それで、そのラミレラという魔王は我々にとっては敵なのか?」
さすがはトゥナムだ。すぐに冷静さを取り戻す。
「いや、今のところは敵ではないと思う。ボクのことも知らなかったみたいだし、少なくともスヴェインの仲間ということはないはずだよ」
「そうか……」
トゥナムは安堵して腰をおろす。彼にしてみれば、スヴェイン個人の能力もさることながら、アークデーモンという厄介な相手がいるのだ。そのうえ魔王との戦闘も想定しなければならないとなれば勝利は絶望的なものになる。
「つまり魔王ラミレラは中立的な立場と考えていいのだね?」
「中立というよりは、フォラスの現状を理解していない、もしくは関心がないってところじゃないかな」
「では、こちらの味方になってもらうことは可能だと思うか?」
「彼女とは少し話をした程度だけど、おそらく無理だ。ラミレラにとってはフォラスのことなんてどうだっていいだろうし、金銭や地位で動くような性格には思えなかった。それに、そもそも彼女と連絡を取る手段がない」
ラミレラがボクと別れた後、どこに向かったのかわからないのだ。もしかすると、フォラスから離れている可能性だって考えられる。
「そう、だな。残念だが魔王ラミレラを仲間に引き入れるのは諦めるしかないようだ。偵察、ご苦労様。ルベタには本当に助けられてばかりだ」
「フォラスに平穏を取り戻したい気持ちはボクも同じだ。そのための協力は惜しまないさ」
「ありがとう。それでは、約束の時間が近づいてきた。わたしもそろそろ向かうとしよう」
トゥナムは立ち上がって歩きだした。続いて歩を進めるボクにリバス様の声が聞こえてきた。
『しかし、あのラミレラという小生意気な魔族には注意しておいたほうがよかろう。もしも敵として現れれば苦戦は必至……というより、はっきり言えば勝ち目はあるまい』
「ボクだって魔王の紋章を宿してるんですよ。そんな簡単にはやられません」
『バカ者。魔王の紋章を宿した者同士が戦った場合、元の身体能力の高さと紋章の力をより使いこなしている者が断然有利だ。身体能力の点においては決して引けはとっておらぬと断言できる。しかし、紋章を扱う熟練度はあやつのほうが上だ。今の貴様では到底かなう相手ではない』
ボクも彼女が強いのは感じていた。
「でも、彼女がスヴェインに味方するなんてことがあるんでしょうか?」
『どうであろうな。ただ、あらゆる可能性を考えておけということだ』
ラミレラと戦うなんて想像したくないけど、その時がくれば……。
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