再会
『あの小娘か。どうやら追われておるようだが……。さて、どうする?』
今までなら迷わず助ける選択をしていただろう。だけど、レミィがスヴェイン側についていないという保証はない。
『このまま捨て置いてもかまわぬのではないか?』
リバス様の言うことも一理ある。だとしても、やっぱり見過ごすわけにはいかないよな。
『やれやれだな。やはり助けに動くか。まぁ、好きにするがよい』
ボクは《不可視》を解除してレミィたちの前に姿を見せる。
「えっ!?」
突然現れたボクに驚愕するレミィ。追ってきていた連中も同様の反応をしている。
「ルベタ……」
ボクの名を呟くレミィ。どうすればいいのか戸惑っているみたいだ。
「ルベタ! やっぱり生きてやがったのか! ちょうどいいぜ。ここでてめぇを殺して褒美をがっぽり貰うとするか!」
レミィを追っていたのは6人。そのうちの一人がボクを知っているらしい。
「挑んでくるのはかまわない。だけど、魔王を相手にするなら相応の覚悟をするんだね。言っとくけど、命の保証はしない」
『ほぉ、言うようになったではないか』
珍しく感心してくれるリバス様とは反対に男たちは怒りを顕にして各々の武器を構える。
「危ないから下がってるんだ」
「うん!」
レミィは指示に素直に従ってボクの後方へと移動する。
「魔王といってもあいつは一人だ。俺たち全員で掛かりゃあ勝てねぇわけがない!」
リーダー格の男が片手剣を高々と掲げて周りの仲間を鼓舞する。それに呼応して一斉に襲いかかってきた。
ボクは手始めに火炎系下位魔術を敵側の後方で弓矢を構えている男に向けて射ち出す。放たれた火炎の球は男に直撃して燃え上がる。火だるまとなった男は絶叫をあげて息絶えた。そう、この1ヶ月で初歩的な魔術を修得していたのだ。
それを見た他の連中に生じた動揺が隙となって広がる。ボクは一気に間合いを詰めた。
「ひっ!」
男たちは一様に恐怖の表情を見せる。もはや先ほどまでの余裕は微塵もない。そんな彼らに対してボクは容赦なく攻撃を繰り出していく。大賢王の杖で殴られた相手は例外なく苦悶の表情になり悶絶する。ただ殴っただけなのにすごい威力だな。
『杖に宿っておる魔力が打撃の威力を高めておるようだな』
ちょうどいいタイミングでリバス様の解説が入る。そういうことか。これなら魔力の温存にもなるぞ。改めて村長に感謝しなきゃ。
「調子にのるんじゃねぇ!!」
四人目を倒したところで、リーダー格の男が片手剣を振り下ろす。ボクは男の脇をすり抜けてかわし、身体を右に半回転させて振り返り様にリーダー格の男の顔を杖で殴り付けた。ボクの攻撃をくらって吹っ飛んだ男はそのまま気絶する。
「くそったれ!」
最後の一人はレミィに駆け寄る。おそらく人質にとるつもりだろう。
「ぎゃあ!」
レミィの元にたどり着くことなく、男はボクの放った雷撃系下位魔術の餌食となり感電死する。
『さすがにこの程度の輩が相手ならば一方的か。我からすればまたまだ未熟者だがな』
はいはい、そうでしょうね。リバス様と比べられると未熟ですよーだ!
「久しぶりだね」
「うん……あの……」
「話があるなら場所を移そう」
ボクは何かを言おうとするレミィを制止して歩き出す。戦意を失くしているとはいえ、敵がいる所で立ち話するのも考えものだ。
とにかくフォラスの近況を聞くいい機会ではある。トゥナムには悪いけどもう少しだけ待っててもらおう。
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