ラルバン戦
前話に続き、今話もガボの視点で書いています。
「よぉ、ガボ。久しぶりじゃねぇか。俺のことは憶えてるか?」
「憶えてる。おまえ、ラルバン」
「そうか。憶えてたか……」
「けど、どうしてここにいる? それにその格好は?」
「そんなもん、魔王ルベタとその配下の魔物をぶっ倒すために決まってんだろうが!」
ラルバンは溜め込んでたものを吐き出すかのように強い口調で答える。
「おで、おまえたちと戦いにきたわけじゃない。ルベタを迎えにきただけ」
「んなこたぁ、知ってる! 魔王ルベタはスヴェインが処刑する。てめぇは俺が担当してやらぁ!!」
ラルバンが右手に斧、左手に盾を構えて襲ってくる。
「だらぁ!」
ラルバンの斧が唸りをあげる。ガボは後ろへさがってかわすと右手の拳で反撃する。だが、ラルバンは盾で受け止める。
ラルバンが再び振りかざした斧がガボの左頬を掠める。ガボも負けてはいない。右足を軸にした回し蹴りで反撃する。
「ぬぉ!」
それを避けれなかったラルバンは吹っ飛んで柱に激突した。しかし、倒れない。
ガボの前まで走ってきたラルバンは頭上にかざした斧を力任せに振り下ろす。ガボはそれを左手で腕ごと受け止めて右手に握り拳を作る。でも、反撃する間はなかった。
「げふっ!」
ラルバンはすぐに跳躍すると両足でガボの胸をおもいきり蹴りつけた。その時、ガボはラルバンの右手を放してしまった。ラルバンは体を時計回りに回転させて自由になった右手の斧を振るう。
斧がガボの右脇腹をえぐっていく。ラルバンの攻撃は止まらない。激痛で床に両膝をついてうずくまったガボの顎を蹴りあげる。宙を舞って頭から落ちるガボ。仰向けの状態になったガボの顔のすぐ横の床をラルバンの斧が砕いた。飛び散った破片がガボの頬にあたる。
「これでわかっただろう。おめぇじゃ俺には勝てねぇ。俺はな、おめぇのこと気に入ってたんだぜ。なぜだ? なぜレウオとメルーを殺した!?」
「おで、わからない」
「てめぇ、とぼける気か!?」
「違う。二人を殺したのはおでに間違いない……。でも、その時のこと憶えてない」
「んな都合のいい話を信じろってのか!?」
「信じなくていい。でも、本当のこと」
息づかいが荒くなってるガボをラルバンはじっと見下ろす。
「まだ動けるだろ? 今回だけは見逃してやる。二度と俺たちの前に姿を見せるんじゃねぇぞ。次は命はねぇからな」
ラルバンは斧を引くとガボから離れる。
「おで、ルベタを見つけるまでは帰るわけにはいかない」
ヨロヨロと起き上がる。
「バカか!? それだけの傷を負ってまだやろうってのかよ?」
「おで……どうしても……ルベタを助け……る!」
「なぜ、そうまでしてあいつを連れていく必要かある? あの野郎はこの島の人間を騙して支配しようとしてるそうじゃねぇか。おめぇもアークデーモンもその配下なんだろう?」
「……そん……な事……誰が……言った?」
「スヴェインだ。あいつはこれまで島のためにいろいろと働いてくれた。俺はあいつを信頼してる。だからこそ、要請に応じてルベタ討伐に一役買ってんだ」
「その……スヴェインが……悪者……」
「なんだと!? ルベタはこの島を支配するために人間たちに好意的に近づき、配下であるてめぇやアークデーモンに人間を襲わせ、さらにゴブリンや海賊を使って俺たちの信頼を得た。それに気付いたリゲックやベレグに海辺の高台へ呼び出されて問い詰められるとリゲックたちを殺害。利用価値がなくなったコルオーンとルザもだ。これは唯一生き残ったベレグが証言してるんだぜ」
「そんなの……でたらめ!」
「ほぉ。だったら、あいつのその後の行動はどういうことなんだ?」
「その後の……行動?」
「ああ。奴は自分の計画の邪魔になるランツァ村長を連れ去って消そうと屋敷に忍び込んだじゃねぇか。それに気付いたスヴェインが追跡したが、アークデーモンとてめぇがルベタの逃走を手助けしたんだろうがよ!」
「違う。……ルベタは……村長を助けようと……しただけ……」
「はっ、よく言うぜ。その騒ぎに駆けつけたチセーヌの連中が言ってたぜ。ルベタはこれまでと違って狂暴だったってな! このことはレミィも証言してるぜ」
「それは……スヴェインの……仕業」
「けっ、都合の悪いことは何でもスヴェインのせいにするつもりか?」
「でも、本当……」
ラルバンは話してる間も視線をそらさない。
どちらも何も話さなくなって静かになる。
「……いいだろう。ここは通してやる。地下のいちばん奥の部屋にルベタの野郎はいる。が、スヴェインが既に処刑を終えてるかもな。行ったたところで無駄足になるだろうぜ。それだけじゃねぇ。てめえも間違いなく殺される。それでも行くなら勝手にしな。俺は庭で生き残った奴らを手当てしてくらぁ」
言い残してラルバンが庭へ出ていった。
いつも読んでくださってありがとうございます。




