表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様の大冒険  作者: 美山 鳥
第6章 裏切りと捕らわれた魔王
75/330

裏切り

 「う……ん?……」


 眠っていたのか。ボクはどうしたんだ? たしかレミィに案内されて洞窟へ行って休んだんだよね。それから水を飲んで……。


 「ここ、どこだ!?」


 ゆっくりと周りを見回して驚愕する。そこは洞窟ではない。見覚えのある地下室だ。そう、ここは村長が捕らえられていた部屋じゃないか。どうしてこんな所にいるんだ!? 困惑していると鉄扉が開き、スヴェインが入ってくる。


 「クックックッ……。どうやら状況を理解されていないようですねぇ」


 微笑を浮かべているが、その双眸には冷酷な光が宿っている。


 「なんだと!?」


 スヴェインに飛びかかろうとして、自分の四肢が壁からのびた鎖で繋がれていることに気づく。それに背中のヴィデルガラムもなくなっている。


 「なぜだ!? なぜボクの居場所がわかったんだ?」


 ボクは森の洞窟に隠れていたはずだ。それなのにどうして?


 「フハハハハ……。わかりませんか? あなたがあの洞窟にいることを知る人物は一人だと思うのですがねぇ?」


 どういう意味だ? ボクが隠れていた場所を知る唯一の人物だって? ……そんな、まさか!?……そんなことあり得ない!!


 ボクが思い至った答えを見透かして愉快そうに嗤うスヴェイン。


 「お気づきになられたようですね。その通りですよ。あなたの居場所の情報をわたくしどもに提供して下さったのはレミィさんです!」


 『あの小娘がぁ! 下賎な人間風情が魔族をたばかるとどうなるか、たっぷりと思い知らせてくれるわ!!』


 これまでに感じたことがないほどの激しい怒りの感情が伝わってくる。いや、憎悪といったほうがいいのかもしれない。だけど、この激情はリバス様だけのものなのだろうか。違う。きっとボク自身の感情でもある。信じたくないという思いと絶望、そして憤怒……。そういったものを抱いてるのは間違いない。


 「信じられませんか? まぁ、それも無理はありません。彼女のことを心底から信じておられましたからねぇ。ですが、真実とは時に残酷なものです」


 薄ら笑いを浮かべている。絶望にうちひしがれているボクを見つめるスヴェインの眼は愉しげだ。


 「いやはや、ルベタ様には驚かされてしまいますよ。わたくしの毒針を受けて理性を保ち続けるとは……。ガボがレウオさんとメルーさんを殺してくれた時のように、ルベタ様がランツァ殿を始末してくれれると思ったのですが、とんだ期待外れでした。そうしてくれればあなたが冷酷非情な魔王だと決定付けるのも簡単だったのですがねぇ」


 やっぱり、ガボの時もこいつが小細工していたのか! 許さない、この男だけは絶対に許すわけにはいかない!


 「あぁ、ついでにもうひとつネタばらしをして差し上げましょう。レミィさんがあなたに渡した水ですがね、あれはわたくしがレミィさんに渡した物です。飲んだらすぐに眠たくなったでしょう? あれには強力な睡眠作用があるんですよ」


 まさか……本当にレミィがボクを裏切っていたというのか!?


 「まぁ、あなたの手でランツァ殿を殺していただけなかったのは非常に残念ではありますが、どちらにしても村長の運命は変わりません。今ごろはあの目障りな村長も亡くなられていることでございましょう」


 「どういう意味だ?」


 「いいでしょう。教えて差し上げますよ。わたくしが扱う毒針は魔族には破壊衝動を呼び起こす作用があるのですが、人間にとっては猛毒なのでございます」


 『それが事実だとすると、あのジジイも相当危険な状態になっておるな。そこは我にとってはどうでもよいがな』


 どうでもよくない! 村長はこの島で数少ない味方なんだ。なんとかして助け出したいけど身動きが取れない。どうすればいい? ボクは冷静にあろうと努める。だが、思考がまとまらない。


 「さぁて、そろそろ始めるといたしましょうか」


 「始めるだって?」


 「ええ。冷酷非情なる魔王の処刑を執行する時間でございます。すぐに殺して差し上げてもよかったのですが、それではあなたに罪を悔いていただく間すらありませんからねぇ。楽には死なせませんのでお覚悟を……」


 スヴェインは冷たい笑みを見せながらショートソードを鞘から抜く。

いつも読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ