村長救出作戦③
「よく無事でいてくれたの!」
地下から一階へ続く階段を駆け上っていると背後から村長が話してきた。
「ガボとも会うことができたんだ。詳しい話はここを出て落ち着いたら話すよ。今は脱出のことだけ考えよう」
「そうじゃな」
階段を上りきった。周囲には誰の気配も感じない。おかしい。
『ようやく気づいたようだな。何か仕掛けてくるとみておいたほうがよかろう。気を抜くでないぞ』
そう。村長の救出があまりにも順調すぎるのがかえって不気味だ。だけど、立ち止まるわけにもいかない。
「急ごう!」
迷いや不安を断ち切るようにボクは屋敷の裏口へと駆ける。ここはやはり正面玄関は避けるべきだろう。
井戸端会議をしていたおばさん連中の姿はなくなっていたことに胸を撫で下ろす。騒がれでもしたらまずい。村長を抱き抱えると《飛行》を使って壁を飛び越える。
屋敷の敷地外へ着地した時だった。強大な魔力を感じて上空を見上げる。
「ちぃ!!」
ボクは村長を抱えたままその場から飛び退いた。直後、空から落ちてきた炎によってボクたちが立っていた地面は焦土と化す。気づくのが一瞬でも遅れていたらと想像すると背筋が冷たくなった。
上空ではアークデーモンが薄ら笑いを浮かべている。まずいぞ! 一人の時ならともかく、両手が使えない村長を守りながらだと不利だ。ボクは《俊足》を全開にして駆け出した。
「ルベタ殿、そなた一人で逃げるんじゃ!」
「嫌だ!」
「バカ者! このままでは二人とも殺されてしまう。じゃが、おまえさんだけでも生き残れば希望が残る」
「希望?」
「ルベタ殿ならばあの悪魔を倒すことも可能なはず。今はおまえさんだけがフォラスの希望なんじゃ。それをこんな所で失うわけにはいかん!!」
『言い争うのはけっこうだが、アークデーモンは消え失せたようだが?』
リバス様の言葉に足を止める。村長とのやり取りと逃走に夢中で気がつかなかった。たしかについさっきまでいたはずのアークデーモンは影も形もなくなっている。
「追撃を諦めたのかな?」
「それはないじゃろ。何かを狙っておるな」
『同感だ。奴がこうも簡単に諦めるとは考えられぬ。それにあのスヴェインとかいう男もなかなかの曲者だからな』
だったら、尚更に急いでここから離れなきゃならない。ボクは《俊足》を再び全開にして駆け出した。
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