村長救出作戦①
洞窟の奥は海と繋がっていて、ガボは出入口として使っているそうだ。ここから外に出るには海底付近まで潜る必要があるため、変身能力を持つガボ専用ということになる。ちなみに、反対側はなんと領主邸に繋がっているんだとか。そこから侵入できれば楽なんだけど、万が一にも見つかればトゥナムも危険にさらされてしまう。また、出入口のある部屋は物置として使われていて普段は施錠されているそうだ。そこで海から上陸して屋敷を目指すことになった。
「よし、行こう!」
「おう!」
ボクとガボがほとんど同時に飛び込む。ガボは海中に入るとすぐに亀へと変身する。ボクは甲羅に掴まって体を固定する。それを確認するとガボは海底付近を目指して潜り、壁に空いた穴を通り抜けると今度は海面へと浮上した。
「ガボはこうやって外に出て、その様子をトゥナムに報告してたんだね」
「トゥナム、おでに優しくしてくれる。おで、トゥナムのこと好き!」
「そっか。じゃあ、トゥナムが少しでも早く外に出られるように頑張らないとな!」
「おう!!」
島の断崖に沿うように海面を移動したガボは小さな砂浜へと上陸する。そして、ボクを下ろしてから元の姿へと戻った。
「ここは!」
ボクはそこに見覚えがあった。リバス様と初めて会った場所だ。というかボクが吸収されてしまった場所といったほうが正確かな?
「ここからならこっそり登れる。ルベタ、あとは頼んだ。村長、助けたら高台へ来る」
「ああ。任せてくれ」
ボクはガボと再会を誓って握手を交わし、《飛行》を使って断崖の上へ出る。幸い、辺りには誰もいないようだ。
「リバス様、隠密行動向きのスキルとかありませんか?」
『ほぉ、どのようなものを期待しておる?』
「そうですねぇ。例えば、姿を消したりできれば楽ですよね」
『それならば《不可視》だな。これは自身の姿を周りから見えなくするスキルだ』
おおっ、言ってみるもんだ。そんな便利なスキルがあるのか!
『ただし、未熟者の貴様では効果は不安定であろう』
「とういうと?」
『持続時間は短く、気を抜くと効果は失せる。そのうえ他のスキルとの併用もできん。さらに言えば、姿を消している間は敵への攻撃や障害物を飛び越える、駆けるといった行動も無理だな。あとは気配を感じ取られたり、索敵魔術によって見つかることもある。要するに、雑魚との戦闘を回避するには有効だが、それなりの実力者には通用せんということだ』
なるほどね。便利なスキルでも使いどころが難しいもんなんだな。
レミィたちにすぐにでも会いたい。だけど、今は村長の救出を優先しなくてはならない。ボクは自らの衝動を抑えてフォラス領主邸へと急ぐのだった。
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