囚われの村長
「待ちたまえ。そう簡単にはいかないようだよ」
「外、危険」
トゥナムとガボがボクを制止する。
「どういうこと?」
「ルベタが寝ていた一週間にスヴェインは行動を起こしている。もちろん、君が生きていると想定してね」
「一週間!?」
ボクはそんなに長い間眠っていたのか……。
『己の限界以上に紋章を使ったのだ。その程度なら軽いくらいだ。警告してやったにもかかわらず紋章の力を使い続けるとは愚かにもほどがある』
うーむ、これからは魔王の紋章を使う時は気をつけないといけないな。でも、あの時はああするしかなかったんだ。
「スヴェインはルベタが魔王だということを周知の事実とした。そのため、確実にこちらの味方になってくれる人物と接触することが先決だね」
「それならレミィとポポルに会うべきだ」
真っ先に思い浮かんだ人物の名を告げる。
「たしかに彼女ならばわたしたちの味方になってくれるに違いないね。しかし、それよりも先に会わねばならない人物がいる。いや、救出といったほうが正しいか」
「救出? いったい誰を?」
「チセーヌ村の長ランツァ殿だ」
「村長に何かあったのか!?」
トゥナムに詰め寄って両肩に手をかける。
「冷静になりたまえ。ランツァ殿は魔王ルベタと結託してフォラスを我が物にせんとした疑惑をかけられ、現在はフォラス領主邸に監禁されている。このまま放っておけば極刑もあり得るだろう」
「くそっ、それなら一刻も早く助けにいかないと!」
トゥナムは焦るボクを落ち着かせるようにゆっくりと着席させる。
「冷静になれと言っただろう? ランツァ殿を捕らえたのは君を誘きだすためだと考えられる。つまり、相手もそれなりの準備をして待ち構えているということだ。そんな所に無策で突っ込んでいったところで事態は良くならない」
うぅ……そう言われると反論できない。
「確認しておきたいんだが、身体のほうは大丈夫かい?」
「あぁ、一週間も寝てたおかげで万全だ!」
ボクの返答に満足げに頷くトゥナム。
「そうか。次は武器なんだが、ガボの話だとルベタは君自身が持ってる大剣を使っていないそうだが?」
「うっ……面目ない。ボクにはまだヴィデルガラムを使うことができないんだ」
実力不足から恐縮してしまう。
「やはりそうだったのか。では、これを使うといい。今はそれくらいしか武器になりそうな物がないものでね」
言ってトゥナムが手渡してくれたのはなんの変哲もない鉄製の棒だった。メイスもダガーも失ったボクにとってはこれでも心強い。
「サンキュー。助かるよ」
受け取った棒を試しに振ってみる。うん、いい感じだ。
「それから役立ちそうな道具を可能なかぎり揃えておいた。携帯できる数には限界があるだろうがね。では、作戦の説明といこうか!」
トゥナムはニコリと笑う。
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