トゥナム
「さぁさぁ、遠慮は要らないよ」
トゥナムが並べられた鮮魚の造りや海鮮丼、天ぷら、焼き魚といった豪華な料理を薦めてくれる。
「すごいね……」
「この洞窟は海に繋がっているからね。ガボが新鮮な魚を獲ってきてくれるからこんな食事ができるんだ。心から感謝してるよ」
「エヘヘヘ…。トゥナムだって捌くのも味付けもとても上手!」
ガボは照れながらも嬉しそうに笑う。二人とも仲がいいんだな。
「屋敷で生活していた頃はメイドたちに任せきりだったから最初は大変だったよ。魚なんてどう捌けばいいんだぁってさ!」
トゥナムは思い返して笑いだす。明るい笑顔にも好感が持てる。
「トゥナムはいい人だね」
率直な感想を述べたボクにトゥナムはクスリと笑う。
「わたしはガボからルベタ君の事をいろいろと聞いてるうちに友だと思うようになってね。だから、君とは友人として接したいんだ。さっきの握手もそういう意味で交わしたつもりだけどな」
「……トゥナムみたいないい人に友と呼ばれて光栄だよ」
『このバカ者はすぐに人間を信用するのだな。貴様はこの男のことをよく知らぬだろうが』
なんだよ、せっかく友情を育んでるのに水を差すことないじゃないか。リバス様ってこういうところは無神経なんだよね。
「いい人か……。それは違うかな」
トゥナムの声のトーンが落ちる。まさかリバス様の声が聞こえたわけではないだろうけど。
「どうしてさ?」
「ルベタ君の危機を知り、救出してほしいとガボに頼んだのだが、心の片隅にはわたしに力を貸してくれるかもしれないという期待もあったんだ。真の善人ならそんな浅ましい考えを持たないだろうからね」
『ほほぉ、自ら認めるか』
リバス様が珍しく感心している。
「人間にも魔族にも完璧な奴なんていないよ。誰しも欠点や弱点はあるものさ。大事なのはそれを受け入れて、直していく努力をすることだろ?」
「ルベタ君……」
トゥナムはボクの言葉を心に刻み込むように両目を閉じる。
「それと、ボクのことはルベタって呼んでくれないか」
「…わかった。そうさせてもらうよ、ルベタ」
「おでも、おでも!」
ガボが自分のことを忘れていないかと主張するかのように声をあげる。その姿にボクとトゥナムの口元が緩んでしまう。
「もちろんさ。私たちの変わらぬ友情に乾杯しよう!」
トゥナムが水の入った木製のカップを持ち、ボクとガボがそれに倣う。
「かんぱぁい!!」
三人で声を合わせて乾杯する。こういうのって初めてだけどいいものだな。その後、ボクたちは他愛もない雑談をしながら目の前の料理を平らげた。
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