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魔王様の大冒険  作者: 美山 鳥
第5章 勇者ベレグの帰郷
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約束

 ピラックに設けられたテントで目覚めた。復興を助けるために集まった有志たちはここで寝起きしている。周りには数人の男たちが雑魚寝をしていた。ボク自身もついさっきまではその中の一人だったわけだ。


 その人たちを起こさないように注意しながら外へ出る。朝の潮風が心地いい。太陽はまだ昇っていないけど東の空が白んでいる。


 復興作業も終わり、今日はレミィたちとチセーヌへ帰る予定だ。ちなみに村長はまだ入院中だ。


 「あっ、おはよう! 早いね」


 声をかけられて振り返った先にはレミィがいた。


 「おはよう。レミィこそ早いじゃないか」


 「なんだか目が覚めちゃって。ねっ、港へ行ってみない?」


 「港へ?」


 問い返すとレミィは笑顔で頷く。レミィと二人きりの時間を過ごせるのだから断るはずもなく、ボクとレミィは並んで港へと向かった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「気持ちいいねぇ!」


 レミィは海に向かって深呼吸して体を伸ばしている。


 「ねぇ……いつかはこの島を出ていっちゃうんだよね?……」


 朝日が昇り始めた水平線を見つめながらポツリと呟くレミィ。


 「ああ、そのつもりだよ。ボクはこの島を出て、いろんなことを知りたいし、いろんな体験をしてみたい」


 答えるボクにレミィはどこか淋しげに微笑む。


 「そっか……。やっぱり男の人にとってはこの島の生活は退屈なのかな」


 「そんなことはないさ。少なくともボクはこの島の生活も好きだよ」


 「もしも……もしもだよ? この島に残ってほしいってお願いしたら、ルベタはどうするのかな?」


 振り向いたレミィは真剣な表情で真っ直ぐにボクを見つめる。


 「それって……つまり……その……」


 突然の意味深な質問に言葉が見つからず戸惑っていると、今度はクスクスと笑い声が聞こえてきた。


 「困らせてごめんね。ルベタの人生なんだもん、ルベタの思うようにするのがいいと思う。ただね、ルベタが島から出ていっちゃったら寂しくなるなって……」


 「絶対に戻ってくる。約束するよ! フォラス島はボクにとっても大切な場所なんだ!」


 真顔で答える。実際、ここはボクの故郷でもあるわけで、特別な場所だと思っている。レミィは少し驚いたような顔をしたけど、すぐに笑顔になる。


 「うん。約束したからね!」


 答えたレミィの背後から朝日が射してくる。夜明けだ。


 それからボクたちは波音を聞きながら、どこか心地よい静かな時間を過ごした。

いつも読んで下さってありがとうございます。

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