約束
ピラックに設けられたテントで目覚めた。復興を助けるために集まった有志たちはここで寝起きしている。周りには数人の男たちが雑魚寝をしていた。ボク自身もついさっきまではその中の一人だったわけだ。
その人たちを起こさないように注意しながら外へ出る。朝の潮風が心地いい。太陽はまだ昇っていないけど東の空が白んでいる。
復興作業も終わり、今日はレミィたちとチセーヌへ帰る予定だ。ちなみに村長はまだ入院中だ。
「あっ、おはよう! 早いね」
声をかけられて振り返った先にはレミィがいた。
「おはよう。レミィこそ早いじゃないか」
「なんだか目が覚めちゃって。ねっ、港へ行ってみない?」
「港へ?」
問い返すとレミィは笑顔で頷く。レミィと二人きりの時間を過ごせるのだから断るはずもなく、ボクとレミィは並んで港へと向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「気持ちいいねぇ!」
レミィは海に向かって深呼吸して体を伸ばしている。
「ねぇ……いつかはこの島を出ていっちゃうんだよね?……」
朝日が昇り始めた水平線を見つめながらポツリと呟くレミィ。
「ああ、そのつもりだよ。ボクはこの島を出て、いろんなことを知りたいし、いろんな体験をしてみたい」
答えるボクにレミィはどこか淋しげに微笑む。
「そっか……。やっぱり男の人にとってはこの島の生活は退屈なのかな」
「そんなことはないさ。少なくともボクはこの島の生活も好きだよ」
「もしも……もしもだよ? この島に残ってほしいってお願いしたら、ルベタはどうするのかな?」
振り向いたレミィは真剣な表情で真っ直ぐにボクを見つめる。
「それって……つまり……その……」
突然の意味深な質問に言葉が見つからず戸惑っていると、今度はクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「困らせてごめんね。ルベタの人生なんだもん、ルベタの思うようにするのがいいと思う。ただね、ルベタが島から出ていっちゃったら寂しくなるなって……」
「絶対に戻ってくる。約束するよ! フォラス島はボクにとっても大切な場所なんだ!」
真顔で答える。実際、ここはボクの故郷でもあるわけで、特別な場所だと思っている。レミィは少し驚いたような顔をしたけど、すぐに笑顔になる。
「うん。約束したからね!」
答えたレミィの背後から朝日が射してくる。夜明けだ。
それからボクたちは波音を聞きながら、どこか心地よい静かな時間を過ごした。
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