再びピラックへ②
改稿済みです。
ピラックへと続く街道を全速力で駆ける。ポポルと一緒に通ったときはそれほどでもなかった道が今はとんでもなく長く感じられた。焦りばかりが心に蓄積されていくようだ。
「くそっ。こうなったら《俊足》を使って一気に行くしかない!」
『よさんか、バカ者』
リバス様がすかさず止める。
「どうしてですか!? このままチンタラ進んでなんていられません!」
『少しは冷静にならぬか。仮に《俊足》でピラックに早く着いたとして、その時、貴様はどうなっていると思う? 長時間にわたりスキルを使用し続けたことで体力・精神力ともに疲弊しきっているだろう。そんな状態で海賊どもと戦ったところで返り討ちにあうだけであろう。ただでさえ昨日の戦闘のダメージが完全に癒えたわけではないのだぞ』
納得できず反論するもあっさり論破されてしまう。
「だったらどうすればいいんですか!?」
『だから落ち着けと言っている。現時点での貴様が扱えるスキルで移動に適しているものといえば《飛行》だな。それを踏まえると、基本は走って移動し、時折、《飛行》を使って体力を温存しつつピラックまで向かうのがベストだな。もっとも、これでも海賊との戦闘は苦戦を強いられるだろうがな』
たとえ辛い戦いになるとしてもやってやるさ。ボクは《飛行》を使うべく精神を集中することにした。
『…む? 待て。チセーヌのほうから何かやってくるようだ』
チセーヌから? 言われて後ろを振り返る。
何か聞こえてくるぞ。これは馬の蹄の音か?
『よいタイミングだ。あの馬を手に入れられれば体力と精神力を大幅に節約できるな』
よし。誰が乗ってるのかは知らないけど、なんとしても借りてみせる! ボクは立ち止まって馬がやってくるのを待ち構えた。
やがて姿を現した馬の背中には誰も騎乗していなかった。それどころか馬具の類が全く付けられていない。ということは野生なのか。だったら、なにがなんでも背中に乗ってやる。《飛行》を駆使すればなんとかなるかもしれない。慎重に間合いとタイミングを計る。
ところが、その必要はなかった。馬は自ら立ち止まったのだ。まるでボクを乗せるために追いかけてきたかのように思えた。
『この馬はもしや……』
リバス様はこの馬に何かを感じ取ったようだけど、今はそれを気にかけている余裕はない。一刻も早くピラックにたどり着きたい。これなら体力と精神力を温存しつつ速く移動することができるぞ!
ボクが背中に飛び乗ると馬はピラックに向けて駆け出した。それはまるで自分が何をすべきなのかを理解しているかのようだった。
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