VSゼルブ戦④
改稿済みです。
『ほぉ、低能は低能なりに意外とやるではないか。無我夢中で投げたとき、偶然にもダガーに魔力が込められたようだな』
リバス様が余計な一言を付け加えつつも一応は褒めてくれてる…のかな?
『何をしておる? さっさとやつに止めをさしにゆかねば、あのジジイが死ぬぞ』
リバス様の言葉通りだ。ゼルブはまだ力尽きていない。頭上に掲げたメイスが渾身の力で振り下ろされようとしていた。
ボクは疼く脇腹を押さえながらも俊足で急加速する。ゼルブはボクが急接近していることに気付くがかまわずメイスを振り下ろす。
ガキィン!
甲高い金属音が部屋中に響く。どうにか間に合った。ボクは足元に落ちていたメイスを拾ってゼルブの攻撃を受け止めていた。だけど、その衝撃は脇腹に激痛をはしらせる。堪らず片膝をついてしまう。
「ルベタ殿!」
「大……丈夫!!」
答えたものの実はかなり辛い。だけど、ここはボクが頑張らないといけないんだ!
「どいつも……こいつも……気にくわねぇ! まとめて……死にやがれ!!」
ゼルブは息遣いも荒く叫ぶ。メイスを頭上に掲げ直す。まずい! 次は受け止めきれない!
ボクは気力を奮い起たせてメイスを横一閃に振りかざす。手応えはあった。メイスの先端部がゼルブの横っ面を叩く。
ドサッ
ゼルブは掲げていたメイスを自らの背後に落とす。血走った眼はボクたちを凝視している。明らかに恨みの念がこもった視線をぶつけてくる。
「くそったれ……め……」
吐き捨てて体勢を崩して地面に倒れ、そのまま塵と消えた。
「やった……のか?」
ポツリと呟く。どうにか立ち上がった村長がボクの肩にそっと手を乗せてくる。振り返ると微笑みを見せる村長の姿があった。
「ようやったのぉ。最後まで紋章の力に頼ることなく勝てたんじゃ。大したものじゃよ」
「え?」
ボクはキョトンとしてしまった。そういえば紋章の力を使えばもっと楽に勝てたんじゃないのか!? 今さらながら気づいた自分が情けなくなってきた。
「なんじゃ、気づいとらんかったのか?」
ボクの様子から察したのか村長が半ば呆れたような表情をする。
「いや、だって、必死だったから紋章のことはすっかり忘れてた」
『愚かにも程があるな』
リバス様の言葉が冷ややかに感じるのは気のせいではないんだろうな。
「やれやれ……。なんにせよ二人とも無事ですんだんじゃからよいじゃろう。帰るとするか」
今度からは紋章のことを頭の片隅にいれておこう。そんなことを思いながら帰路につく。
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