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魔王様の大冒険  作者: 美山 鳥
第3章 ゴブリン退治
30/330

VSゼルブ戦②

改稿済みです。

 《俊足》で一気に間合いを詰める。


 「けっ、あめぇんだよ!」


 ゼルブは退くどころか一歩踏み込んでメイスを力任せに振りかざす。


 「うぐっ」


 体に激しい衝撃が走る。勢いよく弾き飛ばされた。今の一撃は痛かったぞ。


 『馬鹿者! あの程度の攻撃も避けられんのか!? それに無闇にスキルを使うでない』


 いててて…。まさか《俊足》の速さについてくるなんて思わなかった。


 『貴様程度の《俊足》では大した効果もないに決まっておろうが。少しは考えろ』


 うぅ、そこまで言わなくてもいいじゃないか。いつまでも倒れているわけにはいかない。すぐに立ち上がって状況を確認する。


 「ランツァ村長!」


 ゼルブは両手のメイスを駆使した連続攻撃で村長を攻めている。が、その全てを紙一重のところでかわしているのは、さすがは村長と言うべきか。


 「これでもくらっとれ!」


 村長の神風系中位魔術ウインドカッターが炸裂する。真空の刃がゼルブの肌を傷つけていく。だが、大してダメージを与えていないみたいだ。これは早く加勢しないと!


 「このぉ!」


 ゼルブが村長に気をとられている隙に背後に回り込んで背中にダガーを突き刺す。これがまた浅い傷を負わせる程度にしかならない。


 「うっとうしいわ!」


 ゼルブは振り返り様にメイスを振りかざして反撃してくる。間一髪のところでしゃがんでやり過ごす。ひとまずゼルブとの間合いをあけて様子を窺う。


 『そこそこの防御魔術ではないか。もっとも我に比べれば紙切れに等しいがな』


 なんだって。ボクはリバス様と融合するまで防御魔術なんて使ったことなかったぞ。


 「モンスターでも普通に防御魔術が使えるもんなんですか?」


 『貴様の無知も相当なものだな。そもそも防御魔術や索敵魔術は種族を問わず鍛練次第で使用可能だ。むろん熟練者ほど高い効果を得られる』


 なるほどね。だから、あいつはあんなに硬いのか。まずいな。今のボクの物理攻撃でまともなダメージを与えることは難しそうだ。こうなったら、村長の魔術攻撃に期待するしかなさそうだな。


 「ふん、そこでおとなしく待ってろ。このジジイをぶっ殺したら次はてめぇだ」


 ゼルブもボクよりも村長のほうが危険だと判断したんだろう。なんか腹立たしい。当然、このまま待ってるつもりは毛頭ない。ダガーでゼルブの背中を斬りつける。だけど反応がない。全く効いてないのか?


 『どうやら貴様など無視することにしたようだな』


 リバス様の解説がはいる。だったら、意地でも無視できないようにしてやるさ。後方へ飛び退いて距離をとる。


 村長はゼルブの攻撃を最小限の動きで回避しつつ魔力を練り上げている。でも、さすがになかなか反撃するタイミングを見つけられないといった感じだ。


 これまでのゴブリンたちとの戦いでも後方支援を担当してくれていた。年齢的なこともあるだろうけど、接近戦ではゼルブに分があるのは間違いない。


 ゼルブの後頭部に狙いを定めて《俊足》で急加速する。その勢いを利用してそのまま力任せにダガーの切先を突き出した。


 「ちぃっ!!」


 表情を強張らせつつも寸前でかわすゼルブ。避けきれず頬を掠めたダガーは傷口から鮮血を滴らせる。


 「てめぇ……」


 攻撃の標的が村長からボクに変更されたらしい。2本のメイスが次々に振り下ろされる。今は回避に専念するべきだ。


 「くそがぁ!」


 繰り出す攻撃をことごとくかわされて怒りを増幅させるゼルブ。


 「うぁ!」


 執拗な攻撃を避け続ける。だけど、ついにゼルブのメイスがボクの脇腹にヒットしてしまう。勢いよく弾かれて地面に叩きつけられた。仰向けに倒れたボクの視界に跳躍したゼルブの姿が映る。今まさにボクの息の根を止めるべく2本のメイスが同時に振り下ろされようとしているところだ。


 「まずい!」


 痛みを耐えて横へと転がる。その刹那、ボクの頭があった場所の地面がメイスによって深くえぐられた。あと少しでも回避が後れていたらと想像すると血の気が引く。


 「ちょこまかと逃げ回りやがって!」


 ゼルブは脇腹を押さえながらも起き上がったボクを忌々しげに睨む。

 脇腹は痛みで疼いているけど骨折は免れたようだ。防御魔術を習っておいてよかったと心底思う。


 どうしたものかな。性格は悪いやつだけどかなり手強いぞ。

いつも読んで下さってありがとうございます。

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