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魔王様の大冒険  作者: 美山 鳥
第3章 ゴブリン退治
25/330

ゴブリンの洞窟①

改稿済みです。

 「あれが奴らの巣窟のようじゃな」


 大木の陰から覗く視線の先には洞窟。その入り口に見張り役のゴブリンが左右に1体ずつ立っていた。誰かを襲って略奪したであろう古びた鎧と兜、そして手斧を装備している。


 あれからボクたちは何度となくゴブリンの奇襲を受けてきた。最初は不意打ちされてはリバス様に叱られてばかりだった。だけど、ようやく敵の気配を察知できるようになってきた。


 それというのも、魔力を周囲に張り巡らせることで、視界の外の状況を知ることができることを教わったのが大きい。ちなみに教えてくれたのはランツァ村長だ。


 「突入する前に聞いておきたいんじゃが、ルベタ殿は背中の剣を使わんようじゃが?」


 「実は鞘から抜けないんだ。リバス様はボクが未熟だからだって言うんだけどさ」


 「ふむ。伝説に語られておるような武具は自らの使用者を選ぶとされとるからのぉ。その剣の名は?」


 ランツァ村長は背中の大剣に興味あるようだ。これからゴブリンの巣窟に乗り込むというのに緊張感がない。


 「ヴィデルガラムっていうらしいよ」


 背中の大剣の名を告げるとランツァ村長は両目を見開いた。


 「なんと! あの魔大剣ヴィデルガラムだというのか!?」


 村長の様子から相当に有名な剣なんだろうということはわかる。


 「そんなに有名なのか?」


 『たわけ者が! 魔大剣ヴィデルガラムといえば誰もが欲する伝説の武器。本来ならば貴様ごときが触れてよい代物ではないのだ!』


 ランツァ村長より早くリバス様の怒声が頭に鳴り響く。


 「リバス殿に怒鳴られたかの?」


 「……もしかして、リバス様の声がきこえるの?」


 問い返すボクにランツァ村長は首を横に振る。


 「そうではない。ルベタ殿の様子から推測してみただけじゃよ。しかし、当たっておったようじゃな」


 「うん。本来ならボクなんかが触れていい代物じゃないんだってさ」


 「なかなか厳しいのぉ。では、ルベタ殿にはこれを渡しておこうか」


 そう言って差し出されたのは古い短剣だった。


 「これは?」


 「ダガーじゃよ。護身用に持ってきたんじゃがルベタ殿が使ったほうがよかろう。洞窟内ではこれまで以上に危険な戦いになる。それくらいは持っておかんとな」


 「いいの?」


 「かまわん。昔にバザーで買った安物じゃ。遠慮は要らん。それより、まずはあの見張りをなんとかせねばいかんの。ルベタ殿には右のゴブリンをお任せしよう」


 「わかった」


 「承知しておるとは思うが騒がれんようにな」


 「ああ。近くに誘きだして倒すっていうのはどうかな?」


 「古典的ではあるが悪くない」


 ランツァ村長の同意を得たボクは足下の小石を少し離れた位置にある古木に当てる。


 「なんだ?」


 小さな物音に気付いた見張り役のゴブリンが2体揃って近づいてくる。


 古木までやってきたゴブリンが茂みの中を覗こうと姿勢を低くした瞬間、ボクは勢いよく飛び出すと同時にダガーでその首を切断する。


 突然に相棒を失ったもう一方のゴブリンは絶句して立ち尽くしている。おそらく事態が把握できていないのだろう。ボクは残ったゴブリンとの臨戦態勢をとる。


 「ギャッ」


 直後、ゴブリンはランツァ村長の放った雷撃系下位魔術ライトニングボールによる雷球をくらって感電死する。やはりランツァ村長は頼りになる。


 2体のゴブリンは塵となって消滅した。


 「お見事!」


 姿を現した村長に親指を立てる。


 「ルベタ殿こそ見事じゃったぞ」


 村長に褒められて口元がほころぶ。リバス様とは違って褒めてくれるのが嬉しいね。


 「しかし、本番はここからじゃ。気を抜くでないぞ」


 そうだ。この洞窟の中にはまだまだ大勢の敵がいる。本当の戦いはこれからだ。気を引き締めていかないと!


 ボクとランツァ村長は互いに顔を見合わせて慎重に洞窟へと潜入するのだった。

いつも読んで下さってありがとうございます。

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