ゴブリンの森②
改稿済みです。
森は朝の清々しい空気に満たされている。しかし、ゴブリンがいつどこから襲ってくるかわからないという緊張感のせいで森林浴を楽しむ気分ではない。
先頭はボクが歩き、後方からランツァ村長がついてきている。
「不意打ちに備えて常に防御魔術を怠ってはならんぞ」
背後からランツァの声がかかり、振り返った。防御魔術だって? 何をどうすればいいのかわからずにキョトンとしてしまう。
「なんじゃ、知らんのか。それでよくバズラウドに勝てたものじゃな」
この人、ボクがついこの間まで最弱モンスターだったのを忘れているんじゃないだろうか。
「しかたないだろ」
ふてくされたように言うボク。ランツァの笑い声が聞こえてくる。
「すまんすまん。まずは己の魔力を集中してみるんじゃ」
ボクは一度立ち止まる。リバス様に教えてもらったスキルの使い方と同じような要領でいいのかな。とりあえず目を閉じて意識を集中する。体の内側から力が湧いてくるのを感じる。
「いいぞ。ルベタ殿が今感じとるのが魔力じゃ。戦闘において魔力は攻撃・防御・回復など非常に重要な役割を持っておる。まずはそれを全身に纏うようなイメージをしてみるんじゃ」
なんとなくイメージしてみる。目を開けて体を確認してみるが見た目には特に変わったところはないようだ。
「ほぉ! なかなか筋がいいのぅ」
「これで成功してるのか?」
「うむ。ルベタ殿の体は魔力によって守られておる」
「そう言われても実感がない……」
「その状態ならば仮に矢が飛んできたとしてもダメージをかなり抑えることができる」
おぉ、それはすごい。だけど、常に集中してるのはきついな。
「ずっとこうしてるのも疲れそうだ。なにかいい方法とかないのか?」
「最初はそうじゃろう。まぁ、慣れてくればどうということはない。せいぜい精進するんじゃな」
『人間風情が随分と偉そうに言うではないか。我からすれば、この爺も大したものではない』
上から目線ということではリバス様も他人のことを言えないと思うんどけど、とても口にできない。
「ところで、ルベタ殿の正体についてレミィやポポルは知らんのか?」
「ああ。何も言ってないからね」
「なぜじゃ?」
「ボクがガムイラスだってことはいいとして、魔王だってわかったらどんな反応をするのか……」
「ポポルはともかく、レミィならば受け入れるのではないかのぉ?」
たしかにそうかもしれない。いや、レミィならきっと受け入れてくれるだろう。だけど、万が一にもそうならなかったら、今の関係は破綻してしまう。
「まぁ、時期がくれば話す時がくるじゃろう。さて、いつまでもここにいてもしかたない。行くとしようか。前衛はルベタ殿に任せよう。わしは後方支援を引き受ける」
ランツァ村長が話を打ち切る。ボクは頷くと森の奥へと歩き出す。
目的は二つ。村に被害をもたらしているゴブリンを退治すること。そして、数年もの間逃走しているガボを見つけ出して事情を聞き出すことだ。
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