ゴブリンの森①
改稿済みです。
「これより先は奴らのテリトリーじゃ。くれぐれも油断してはならんぞ」
ランツァ村長が鬱蒼と生い茂る木々を前に話しかけてくる。
「わかってるさ。村長こそ無茶しないでくれよ」
「ぬかせ。ゴブリンごときに易々とやられはせん。ルベタ殿こそゴブリンと戦った経験はなかろう?」
図星をつかれて言葉に詰まる。スライムにでさえ逃げ回るしかなかったボクにゴブリンとの戦闘経験などあるはずがない。遭遇しても逃げるばかりだった。
「やはりな。奴らは単体ならば脅威ではない。しかし、ゴブリンというのは群れ単位で動く。周囲には充分に気を配っておかねば痛い目に遭うぞ」
ランツァの助言を受けて頷く。
「うむ。他人の忠告を素直に受け取れるのは良いことじゃ。自らの成長を促すことにもなる。もっとも、お前さんの場合、中身はともかく体は魔王じゃから心配には及ばんとは思うがの」
『当然だな。いかに中身が悪かろうがゴブリンごとき敵ではないわ』
悪気があるのかどうかはわからないけど、二人ともひどいことを言うな。
「あと、よほどの事態がない限り右手の紋章を解放してはならんぞ」
「どうしてさ?」
「魔王の紋章の力が解放すれば戦闘力は飛躍的に向上するじゃろう。しかし、無闇にその力を行使しておれば、お前さんや周囲の者に災いがあるかもしれんということじゃよ」
「災い?」
「うむ。要するに強大な力は使いどころを見極めねばならんと心得ておくことじゃ」
『おのれ、我が紋章を呪いのようにぬかしおって!』
リバス様が憤慨している。もちろん、村長には聞こえないわけだが黙ってはいられないのだろう。
「なんにしても、真の強さを求めるならば紋章の力に頼っておってはならんぞ」
べつに強さを求めているわけじゃないけど、不用意に紋章を使って厄介なことになるのも面倒だよな。
「わかった。できるだけ紋章の力は使わないようにするよ」
「うむ、それがよかろう。では、行くとするかの」
こうして、ボクとランツァはゴブリンが巣くう森へと足を踏み入れた。
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