領主邸をあとにして
改稿済みです。
「リゲックって本当に嫌な奴だよね。ポポルが嫌っているのもわかる気がする」
屋敷の庭を通って正門へと歩きながら独り言を漏らす。
『たしかにな。だが、あのまま戦闘にならなかったのは幸運であったな』
「えっ、あのリゲックはそんなに強いんですか!?」
リバス様の呆れたようなため息が聞こえてくる。
『やれやれ、やはりまだ気づいておらんようだな。まぁ、よかろう。さっさと帰るぞ』
うーん、そんなに強いんならバズラウドなんか雇わなくてもいいんじゃないだろうか。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「それにしても、結局は手がかりなしかぁ…」
庭を抜けて正門までやってきた。当時のことを聞けると思ったんだけど期待外れだ。
「そのことにつきまして、ベルタ殿にお話ししておきたい事がございます」
「のわぁ!」
突如、背後から聞こえた声に思わず叫んでしまう。振り返るとスヴェインさんの姿があった。びっくりしたぁ。本当に神出鬼没な人だ。
「申し訳ございません。驚かせてしまってようですな」
スヴェインさんが頭を下げる。でも、彼が悪いわけではない。
「いや、ちょっとびっくりしただけ。それより話というのは?」
「実は、ガボが隠れているとすれば島の中央の森が可能性大なのではないかと思われます。あそこはゴブリンが多く生息しているため、島の住民ですら近付かない場所ですからね。人目に触れず過ごすのには適した場所ではないかと」
たしかにあの森なら誰にも見つからずに暮らせるかもしれない。もちろん、生き抜く事ができるだけの実力があるというのが前提条件だけどオーガなら問題ないか。
「なるほど。行ってみる価値はありそうだね」
「非常に危険な場所ですので気をつけてくださいませ」
「ああ。それにどうせ手がかりもないわけだし」
「森に向かわれる前にランツァさんを訪ねられてはいかがでしょう」
「村長を?」
意外な名前が出てきた。ボクが問い返すと、スヴェインさんは頷く。
「既にお知り合いでしたか。彼はこの島のことに関しても非常に詳しい方です。何らかの情報を得られるかもしれませんし、会っておいて損はないかと…」
「そっか。それなら村長に聞いてみるよ」
スヴェインさんの助言に従って村長に会ってみよう。森はこの島でも特に危険な場所だ。情報は多いほうがいい。
「それではわたくしはお屋敷に戻らせていただきます。くれぐれもお気をつけください」
「あぁ、わかってる。ありがとう」
ボクは気遣ってくれるスヴェインに礼を言って正門を出る。
『すぐにランツァの所へ行くのか?』
「いえ、とりあえずレミィたちの所へ戻ってみるつもりです。心配してくれてるだろうし」
答えつつ、ボクは屋敷を後にした。
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