カビラル到着
「う……ん……」
窓から射し込む光で目が覚めた。隣のベッドで寝ていたはずのレミィの姿がない。もう起きたのかな。
大きく伸びをして体をほぐし、ベッドから脱け出す。それから魔大剣ヴィデルガラムとシルバーミスリルの軽鎧を装備する。
「よし、いくか」
船室から甲板へと移動した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
朝の潮風が寝起きのボクの頬を撫でる。大きく息を吸い込む。
昨夜のウォーターマンとの戦いで破損した箇所は既に応急の修繕が施されている。さすがに手慣れているみたいだ。
慌ただしく動き回る船員たちを尻目ににはレミィを探し始める。
「おっ、目が覚めたみてぇだな。もうすぐカビラルの港町に着くぜ!」
ボクの姿を見つけたマーティル船長の声が聞こえてきた。
「おはよう。レミィを見なかった?」
「嬢ちゃんなら船首のほうにいたぜ」
「そっか。ありがとう! 行ってみるよ」
船長に礼を言って、船員たちの間を縫うように船首へと歩きだす。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
船首にいたレミィは大賢王の杖を水平に構えて魔力を高めている。
あれは魔術の基本的な修行のひとつだ。ああして魔力を高め、練り上げることを繰り返せば少しずつ魔力そのものの扱いに慣れてくる。それによって速やかに魔術を発動することが可能になるというわけだ。あと、集中力を高める効果もあるらしい。
ボク自身もトゥナムに教えてもらって実践していた修行だ。
(ああいう地道な努力を積み重ねるところがレミィらしいな)
ボクは、レミィの修行の邪魔にならないように背後から見守ることにした。
「ふぅ……」
ちょうど終えるタイミングだったのか。ほどなく振り返ったレミィが驚いたような表情になる。
「ルベタ! いつからそこにいたの!?」
「さっき来たところだよ。集中してるみたいだったから声をかけなかったんだ」
レミィは微笑する。
「気をつかわせちゃったね」
「ううん。それよりもうすぐカビラルに着くみたいだよ」
「うん! わたしもマーティル船長から聞いた。いよいよだね!」
「ああ、ボクたちの旅が始まるんだ!」
言いながら視線を船首の先へと向けた時だった。入港を報せる船員の声が聞こえてきた。




