表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様の大冒険  作者: 美山 鳥
第10章 世界へ!
144/354

ウォーターマン襲来!

 「魔物モンスターだぁ! ウォーターマンが現れたぞ!」


 ボクは、甲板のほうから聞こえてきた叫び声に飛び起きた。隣のベッドでもレミィが同じように起きる。


 「ねぇ、今、魔物モンスターが現れたって!?」


 「うん! レミィはここで待ってて! 様子を見てくる!」


 ボクはシルバーミスリルの鎧を装着して、ヴィデルガラムを背負う。


 「待って! わたしも戦う!」


 レミィも大賢王の杖を持つ。真っ直ぐに見つめてくる視線には強い意思が宿っていた。


 「……いこう!」


 「うん!」


 ボクたちは二人揃って船室を飛び出して甲板へと急いだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 甲板へとやってきたボクたちの視界に飛び込んできたのは人の形をした水だった。その体内には球形の小さな黒い塊が動いている。


 『ウォーターマンか。たいしたことのない魔物モンスターだ。やつらの……』


 「ルベタ、体内の黒い球を攻撃して! ウォーターマンにはあそこ以外を攻撃してもダメージを与えることはできないわ」


 リバス様の言葉を遮るかたちでレミィがウォーターマンの攻略法を教えてくれる。もちろん、レミィにはリバス様の言葉は聞こえていないんだけど。


 『ほぉ……』


 リバス様はそれ以上は何も言わない。ということは、レミィのアドバイスは的確だと考えてよさそうだ。


 「了解!」


 ボクは背中の鞘から魔大剣ヴィデルガラムを抜き放った。


 「でやぁ!」


 早速、手近にいたウォーターマンの体内にある黒い球を目掛けて、中段に構えたヴィデルガラムを一気に振り抜く。


 ゴッ!……ベチャッ!


 ヴィデルガラムを握る右腕に鈍い感触が伝わる。なんか、想像してたのとはだいぶ違うような?


 ヴィデルガラムの一撃で弾き飛ばされた黒い球体は船の壁に激突して霧消した。とりあえず倒すことはできたようだ。


 「あのぉ……リバス様?」


 『なんだ?』


 「今のは斬ったというよりは、ぶん殴ったといったほうが正確だったように思うんですが?」


 『そうだな。ぶん殴ったな』


 「ヴィデルガラムってそういう武器だったんですね?」


 『たわけ者! 魔大剣ヴィデルガラムはまごうことなき名剣中の名剣だ!!』


 リバス様に怒鳴られてしまった。


 「ルベタ!」


 レミィの声で我に返る。そんなことを言ってる間にもウォーターマンは甲板を所狭しと暴れまわっている。そして今、ボクの目の前にも……


 「むぐっ……」


 ボクの体はウォーターマンの体内に取り込まれてしまう。


 (なんだ! 体力を吸いとられてるのか!?)


 全身から急速に力が抜けていくのを感じる。


 (まずいぞ! 冒険の旅に出て初日で死ぬなんて早すぎるよ!!)


 『落ち着け、バカ者。我が肉体はこの程度のザコ魔物モンスターに吸い尽くされるほど貧弱ではないわ』


 リバス様の言葉どおりだった。ボクの体力を吸い尽くせないとわかったウォーターマンがボクから離れる。今度はこっちの番だ!


 「この!」


 ボクはヴィデルガラムを大上段に構えて振り下ろす。


 ゴツッ!


 ウォーターマンの核を捉えた魔大剣ヴィデルガラムの一撃によって2体目も霧消した。


 「大丈夫!?」


 レミィが心配してくれる。優しいなぁ……リバス様とは大違いだ。


 「うん。あれくらいどうってことない。ごめん。油断してた……」


 ボクはヴィデルガラムを正眼に構える。


 「客人!」


 掛けられた声に振り向く。そこには戦斧を手にしたマーティル船長がいた。


 「こんなところで何やってんだ! さっさと船室に引っ込んでな!」


 やれやれ、リバス様に続いてマーティル船長にも怒鳴られてしまった。


 「ボクも戦うよ」


 「バカ野郎! 客人にそんな危ねぇことをさせられるか!!」


 「いいや! ボクは戦う! このまま黙って部屋にいるなんてできない!!」


 「……なんだと! この非常時に駄々をこねやがって!」


 マーティル船長とボクは激しく火花を散らす。


 「いい加減にして! 今はそんなことを言い合ってる場合じゃないでしょ!?」


 今度はレミィに怒鳴られる……。だけど、たしかにレミィの言うとおりだ。


 「船長、ボクたちは自分の意思でここに立ってるんだよ。だから……」


 そこまで言って、魔大剣ヴィデルガラムを一閃する。迫ってきていたウォーターマンは核を破壊されて絶命した。


 「手伝わせてくれないかな?」


 マーティル船長は乱暴に自分の頭を掻く。


 「ちっ、しゃあねぇな!……その代わり、絶対に死ぬんじゃねぇぞ!!」


 「了解!」


 「はい!」


 マーティル船長の承諾を受け、ボクとレミィが返事する。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「せやぁぁ!」


 「うぉりゃあ!!」


 「雷撃系下位魔術ライトニングボール!」


 ボクたちは甲板を跋扈ばっこするウォーターマンを次々に霧消させていく。マーティル船長もすごい。大きな戦斧を軽々と扱って、ウォーターマンをどんどん蹴散らしている。


 周りでは船員たちも奮戦している。何人かは体力を吸い尽くされてしまった者もいるようだ……。


 「レミィは手当てが間に合いそうな人たちに回復魔術を!」


 「うん!」


 レミィがボクの指示どおりに動いてくれる。


 「すまない。感謝する!」


 マーティル船長は回復系下位魔術ヒールをかけて回るレミィに謝意を伝える。


 「させるものか!」


 倒れた船員たちの手当てをするレミィに襲いかかるウォーターマンの核をヴィデルガラムで薙ぐ。続いて襲ってきたウォーターマンも振り返り様に打ち捨てる。


 『ほぉ……さすがにこの程度のザコ魔物モンスターなら問題なく倒せるようになってきたか。フォラス島での騒動も全くの無駄ではなかったというわけだな』


 リバス様が褒めてくれるなんて珍しいこともあるもんだ。意外と優しいんだね。


 『さすがは我の肉体よ! 魂が最弱モンスターの貴様であってもこれだけの戦闘能力なのだからな』


 前言撤回だ。やっぱり一言多いんだよな、この人は。


 そんなことを思いつつ、ボクとレミィとマーティル船長は苦戦中の船員たちを助けながら、ウォーターマンを全滅させるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ