世界統治5ヶ国と5人の魔王
「ところで、ボクたちが向かってるカビラルの港町ってどんな所?」
船室に戻ったボクは隣のベッドに腰をおろしているレミィに訊く。
「バナイア王国の港町のひとつで、フォラスにとっては最も盛んに交易が行われている港町よ」
「へぇ。それで、バナイア王国って?」
『やれやれ。無知とは悲しいものだな……』
うるさいなぁ、この魔王様は!
「えっとね、世界には大小いろんな国があるの。バナイア王国っていうのは、ガルフィン帝国、ベギ公国、ケメジリアス共和国、プロペイン領国と合わせて世界統治5ヶ国って呼ばれてるの」
ふむふむ。バナイア王国って世界でもかなり有力な国ということなのか。
「世界統治5ヶ国っていうのはね、この世界の治安を守るために定期的にサミットを開いてる国なのよ。例えば、貧困で苦しんでる国があれば支援を送ったり、紛争している所があれば仲裁に入ったり……って感じ」
『魔王討伐などというふざけた真似もしてきおるがな』
リバス様が不吉な追加補足をしてくる。それって、ボクも討伐対象になるかもしれないってことなのか?
「どうかしたの?」
レミィは、ボクの様子がおかしいのに気付いて訊いてくる。
「あのさ、その世界統治5ヶ国って魔王討伐なんかもやってるんだよね?」
「そっか。ルベタだって一応は魔王様だもんね」
一応はって……地味に傷つくかも。
「あっ、ごめんなさい!」
ボクの傷心を気付いたレミィが謝る。
「いや、いいんだ。気にしないで。それで、やっぱりそうなんだよね?」
「うん。でも、ルベタは大丈夫よ。討伐対象になるのは世界制服を企むような魔王だから。世界統治5ヶ国も魔王と本気で戦うのは避けたいのよ」
なるほどね。それなら安心だ。
「世界統治5ヶ国は魔王と互角の戦力を持ってるってことなんだね」
「んー……」
レミィは少し難しい顔をする。
「というよりはね、ひとりの魔王を討伐対象にした場合、最悪、ほかの魔王も相手にしなきゃいけないかもしれないの」
「なるほど。ほかの魔王としても世界統治5ヶ国の存在は決して好ましくないんだね」
ボクの出した答えに頷くレミィ。
「もしも、世界統治5ヶ国と5人の魔王が総力戦をすれば、世界中が壊滅的な被害を受けることになるでしょ。だから、世界統治5ヶ国は、よほどのことがないかぎりは魔王に対して不干渉なの」
レミィの説明を聞いて一安心する。
「だったら安心だね。……カビラルってどんな港町なのかな? フォラスから出るのは初めてだから楽しみだよ!!」
「わたしも初めてだからすごく楽しみなんだ!」
二人して旅に想いを馳せる。
コンコン……
船室の扉をノックする音がした。
「はい」
レミィが応答すると扉を開けて船員が入ってきた。
「お食事の用意ができましたので食堂のほうにお越しください」
「わかりました。ありがとうございます」
レミィが答えると船員は一礼して静かに扉を閉める。
「それじゃ、行こっか!」
ボクは声を掛けてベッドから立ち上がると、レミィに手を差し伸べる。レミィは一瞬だけ躊躇したようだけど、少しだけ頬を赤らめてその手をとった。




