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魔王様の大冒険  作者: 美山 鳥
第2章 フォラスの独裁者
13/330

スヴェイン

改稿済みです。

 「ほぇ~、近くで見るとやっぱり大きいなぁ……」


 ピラックを一望できる丘の上に建つ豪奢な屋敷を見上げて声を洩らす。街道から見た感じでも立派なのはわかっていたが、間近で見ると予想以上だ。


 「ここはリゲック様のお屋敷だ。てめぇは何者だぁ?」


 屋敷の正門で番をしていた二人組の男がボクを睨み付けてくる。門番といっても見た目の印象はならず者という感じだ。


 「そのリゲックさんに会いにきたんだ。取り次いでもらえないか?」


 「あぁん、リゲック様がいきなり来た得体の知れねぇ奴にお会いになるわけないだろうが。帰れ帰れ!」


 門番の一人が面倒くさそうに手で払い除ける仕草をする。


 「ガボっていうオーガが起こした事件について調べてるんだ。それで知ってる事を話してもらおうと思ってね。リゲックさんと警備隊が事件を目撃したんだよね?」


 門番の男たちは互いに顔を見合わせたあと、片方がこちらを向く。


 「あぁ、何年か前に起きたっていう事件のことか。いずれにしてもいきなり来た怪しい奴をリゲック様に会わせるわけにはいかねぇんだよ! さっさと帰れ」


 またしても野良犬でも追っ払うかのような仕草をする。


 『こやつら、命が惜しくないようだな』


 男たちの態度にリバス様はご立腹の様子だ。感じが悪いのは同感だ。現状では当時のことを知る手立てが他にはないわけで、ボクとしても簡単には引き下がれない。


 「そう言わずにさぁ、とりあえず話だけでも通してくれないかな?」


 「ざけんな! どうして俺たちがおまえなんぞに使われなきゃなんねぇんだよ。早く帰らねぇと痛い目をみることになるぜ!」


 うーん、困ったな。ここで揉め事を起こしてレミィたちに迷惑をかけるのもまずいし、ひとまず引き返すしかないか。


 「少々、お待ちくださいませんか?」


 全く聞く耳を持たない彼らの説得を諦めて帰路につこうとしたボクを呼び止める声がした。見ると、門番たちの後ろに白髪混じりの初老の男が立っている。


 服装から察するにこの屋敷の執事だろうか。


 「うぉ! スヴェインのおっさんじゃねぇか。相変わらず神出鬼没なうえ、いつの間にかいやがるな」


 突然現れた執事風の男に門番が後退りする。


 「申し訳ございません。どうやら驚かせてしまったようですね。影が薄いといいますか、昔から気づかれにくいものでして……」


 男は門番たちに深々と頭を下げて謝罪した。


 「まったく……。それで、さっきの言葉はどういう意味だ?」


 「はい。彼をお通ししていただけませんか?」


 「こいつはおっさんの知り合いなのかよ?」


 「いえ、そういうわけではございません。しかし、わざわざ来ていただいたのに門前払いでは心苦しく思いましてね……。責任は私が負いますので、どうかお願いいたします」


 執事風の男性が再び頭を下げる。


 「まぁ、おっさんが責任を持つってんならいいだろ。通してやるよ」


 こうして閉ざされていた格子状の門扉が開かれ、その内側へと入ることができた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「ありがとう。お陰で助かったよ」


 正門から屋敷へと続く石畳を歩きながら初老の男に礼を言う。


 「いえいえ、お礼を言っていただくほどのことではございません。そういえば自己紹介がまだでしたな。わたくしはこの屋敷の執事をさせていただいているスヴェインと申します」


 「ボクはルベタ」


 「なぜ、ルベタ様はガボが起こした事件のことをお知りになりたいのですか?」


 「レミィやポポルに聞いた話だと突然凶暴化したみたいなんだ。そんなのおかしいよ。何らかのきっかけがあったんじゃないかって気がする。納得できないんだよね」


 ボクの話にスヴェインは顎に手を当てながら何かを考えている素振りをする。


 「なるほど…。しかし、モンスターが突然凶暴化してもおかしくはないのでは? 特にオーガといえば好戦的な種族。であれば闘争本能に目覚めたとしても不思議はないかと」


 それ、リバス様にも言われたことだ。


 「たしかにね。でもさ、モンスターにだって心はあるし、ただ本能のままに生きてるだけじゃないんだ。まして、ガボは人間と一緒に暮らしてた。それをモンスターだからってだけで悪と決めつけたくない。理想論かもしれないけど、人間も魔族も共存できる世界になればいいと願ってる」


 スヴェインは感心した様子で大きく頷く。


 「人間と魔族の共存ですか。実現すれば素晴らしいですね。ルベタ様のようにお優しい魔族を見ているとそれも可能なのかと思えてきます。そういえば、人間や魔族、獣人族など多種族が共存する独立都市の話を聞いた覚えがありますな」


 「そんな所があるの!?」


 思わぬ情報にくいつく。


 「ええ。わたくしも実際に訪れたことはないのですが、たしか女神様が統治されているヴァルザフという街だったかと。もっとも、色々と問題もあるようですが……」


 そんな街があるなんて驚きだ。ものすごく興味深い。よし、今度行ってみよう! けど、今はガボの件について調べなきゃ。そのためにもまずはリゲックに会う必要があるわけだ。

いつも読んで下さってありがとうございます。


気がつけば、バトルシーンがほとんどなかったですね。

今後はもっと増やしていこうかと考えております。

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