目覚め
目覚めたボクの視界に天井が映る。室内を見回すと見覚えのある部屋であることがわかった。ここはレミィとポポルの家だ。そして、ボクはレミィのベッドを占領してしまっているらしい。ということはチセーヌ村なのか。
「うっ……いったぁ……」
上体を起こそうとゆっくりと動いた。途端に激痛におそわれて動きを止めてしまう。見れば、身体中が包帯だらけじゃないか。ボクはスヴェインとの決戦において重傷を負ったんだ。それでも動けるのは懸命な治療の賜物に他ならない。
「リバス様、あれからどれくらい経ってるんですか?」
ボクは身体を共有している、運命共同体のような人物に話しかける。
『さぁな』
素っ気ない返事が返ってきた。
「さぁ……って、リバス様もわからないんですか?」
質問するも返答はない。とりあえずは外に出てみよう。他の皆がどうなったのかが気になる。身支度を整えて外へと向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そよ風が頬を撫でる。久しぶりに風に吹かれたような気がする。村の人たちが協力して復興作業をしている光景に安堵した。
「ルベタ!?」
ボクの姿をいち早く見つけたレミィが勢いよく駆けてきて、そっと抱きついてきた。顔は火照り、鼓動は早くなる。
「よかった! 本当によかった!!……一週間も目を覚まさなかったのよ。二度と目覚めないんじゃないかって心配したんだから!」
一週間だって!? そんなに長い間眠り続けていたのか……
「姉ちゃん、村の復興作業とルベタの付き添いでほとんど寝てなかったんだぜ」
いつの間にか側に来ていたポポルが満面の笑みで話す。
「そうだったのか。随分と心配をかけちゃったね。ごめん」
「ううん。こうして無事に目が覚めてくれただけですごく嬉しい! だから、気にしないで」
レミィはボクの胸に顔を埋めながら涙声で言う。ボクはその華奢な体をそっと抱き返す。
「ちぇ、見てらんねぇや…~」
ポポルはそっぽを向いてしまう。
「おや、こをれはまずいところに来てしまったようだ。出直したほうがいいかね?」
その声に反応して振り向いた先にトゥナムの姿があった。さらにその横には白衣を着た医者らしい老人が立っている。
「トゥナム、無事だったんだね」
トゥナムはニコリと微笑した。
「お陰様でね。ルベタこそ、目覚めぬのではないかと心配したぞ」
「トゥナム様も毎日通ってきてくださってたのよ」
ようやくボクを解放したレミィが教えてくれる。
「我々のためにその身を賭して戦ってくれた英雄に対して当然のことだ」
「英雄だなんて、そんな大袈裟な……」
なんだか気恥ずかしくなってくる。
「いやいや、大袈裟ではないよ。ルベタの活躍がなければ我らの勝利はあり得なかったのだからね。もっと胸を張って然るべきだろう。といっても、君の性格からしてそうはできないのだろうね。しかし、フォラスの民を代表して改めて礼を言わせてほしい。本当にありがとう。心から感謝している!」
言って差し出しきたトゥナムの右手を強く握り返す。
「ボク一人じゃ何もできなかった。島の皆が立ち上がってくれたからスヴェインたちを倒すことができたんだと思う」
「まったく、君らしいといえばそれまでだが……」
トゥナムはフッと笑う。それから急に真顔になってボクを真っ直ぐに見つめてきた。
「どうかした?」
少し後退しかけつつ訊く。
「話したいことがある」
「あの、よければ中へ……」
レミィが気を利かせてくれる。こうしてボクたちは家の中へと戻った。
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