表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様の大冒険  作者: 美山 鳥
第9章 魔王の旅立ち
126/334

暗闇の再会

 ここはどこなんだろう? 暗くて何も見えない。そもそもボクはどうしてこんな所にいるんだろうか? それよりもボクはいったい誰なんだ?


 どこまでも続く暗闇の中、ボクはぼんやりと立ち尽くしていた。いや、正確には自分が立っているのか座っているのか、はたまた横になっているのかすらも定かではない。


 「あの程度の相手にこのような有り様とは情けないことだ……」


 暗闇の中に一人の男が現れた。どこかで会ったことがあるような気もする。


 「君は?」


 ボクの問いかけに男は深いため息をついた。


 「何も覚えておらんのか?」


 男の返してきた質問に首を横に振る。


 「記憶が混乱しておるようだな。まぁ、よかろう。貴様、自分の名は覚えておるか?」


 「わからないです…」


 どこか申し訳なさげに答える。男は再びため息を洩らす。


 「貴様の名はルベタ。ルベタ・ガムイラスだ」


 「……ルベタ・ガムイラス……」


 男が言った名を反覆する。


 「そして、我こそはリバス。魔王リバスである!」


 男はなぜか誇らしげな様子で名乗った。


 「……リバス……」


 「様を付けぬか!」


 魔王リバスが語気を強くして言う。


 「リバス様……」


 魔王リバス様、か。たしかに知っているような気がする。


 「あの、それで、ここはどこなんでしょう?」


 「ここは貴様の深層といったところか」


 「深層?」


 「要するに貴様の内側……心の世界とでも例えればよかろう。もっとも、我の内側ともいえるがな」


 「はぁ、心の世界ですか……。つまり、夢の中みたいな?」


 「夢、か。ある意味ではそれに近いかもしれぬ」


 魔王リバス様は少し面倒くさそうな表情を浮かべながらも答えてくれる。


 「でも、夢の中で自分が何者なのかわからなくなるなんてあるんですかね? けっこうレアな展開なのでは?」


 「そのことか。なに、心配することはない。それは本体が昏睡状態なのが原因だ。すぐに回復する」


 「昏睡状態!? ボクに何があったんですか!?」


 驚いて訊くボクに対してリバス様はいたって冷静に答えを返す。


 「貴様はフォラスという島を、そして、そこに住まう者たちを守るために戦い、傷つき倒れた。我が消え行く貴様の魂を留めておいたのだ。貴様は間もなく目覚め、それと同時に全ての記憶を取り戻すはずだ。代わりにここでの記憶は失うことになろうがな」


 「そうだったんですね。安心しました。ということは、リバス様がボクを守っていてくれたんですよね? ありがとうございます! リバス様っていい人なんですね!!」


 リバス様と会話している間にも少しずつ周りが明るくなり始める。


 「いい人だと?」


 「だってそうじゃないですか。もしもボクを見捨てていれば体はリバス様のものになってたってことですよね? そうしないでボクが意識を取り戻すまで守っていてくれたんだから、絶対にいい人なんです!」


 リバス様はフンッと鼻で笑う。しかし、どこか照れているようにも感じる。


 「今回は貴様にしては少しは根性を見せたようだからな。褒美のようなものだ。が、次はない。……さて、いよいよ目覚めの時がきたようだ」


 「はい、本当にありがとうございました! あっ、そうだ! ボクが目覚めてもリバス様はボクの中にずっといるんですよね?」


 「……それがどうした?」


 「だったら、これからもよろしくお願いします! ボク、リバス様が一緒にいてくれると嬉しいです!!」


 さっきまでとはうってかわって明るくなる夢の世界。リバス様は無言でボクに背を向けた。その姿を見つめながらボクは光の中へゆっくりと吸い込まれていくのだった。

いつも読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ