決戦(ルベタ編⑬)
スヴェインが神風系中位魔術を連発し、無数の真空の刃が放たれた。返り討ちにあうリスクが高い接近戦よりも遠距離からじっくりとボクを弱らせる作戦なんだろう。だったら、こちらも魔術で応戦するまでだ。
スヴェイン相手なら、大賢王の杖に宿る魔力を利用すれば少なくとも互角に戦えるはずだ。移動して回避しながら杖を振りかざして氷塊系下位魔術で反撃する。
「その杖もなかなか厄介でございますな。てすが、魔術勝負なら引けはとりませんよ!」
ショートソードを足元に突き刺すと防御魔術して氷塊系下位魔術を防ぐ。そこから空いた右手をかざす。
「なんだ!?」
頭上に魔力が集まるのを感じた。振り仰ぐ間もなく雷の雨がボクに降り注ぐ。
(雷撃系中位魔術か!)
ボクは膝をつく。そこを畳み掛けるように神風系中位魔術と火炎系下位魔術を連続で撃たれた。防御魔術することでダメージを最小限に抑えるもかなり効いた。
「まだ……やれる!」
全身を襲う痛みに堪えて起き上がる。下位魔術しか使えないけど絶対に諦めない。攻撃の的にされないように再び走り出そうと左足を踏み出した時だった。
「痛っ!」
強い痛みを感じた。左足は神風系中位魔術で切り裂かれて衣服が赤く染まっている。
「クックックッ……。その足ではまともに動き回ることもできませんねぇ!」
狂喜の笑みを浮かべたスヴェインは両手で魔力を解き放つ。使った魔術は氷塊系中位魔術だ。今度は氷の針が降り注ぐ。足元が多量の血で真っ赤になる。呼吸も苦しい。意識も薄れてきた。
「……タ!」
誰かが何か言っている? 声が聞こえたほうに視線を移す。
「レミィ!?」
視界に映った人物の名を叫ぶ。薄れていた意識が急速に戻ってくる。
「ルベタァァァァァ!!!」
レミィがボクの名を叫びながら駆け寄ってくる。駄目だ!! 今、来たら巻き添えになってしまうじゃないか!!! ボクは無我夢中で無理矢理にでも動く。一刻も早くスヴェインを倒さないと!
振り返ると同時に神風系下位魔術で強烈な突風を発生させ、それを推進力としてスヴェインに急接近する。その間にも火炎系下位魔術や氷塊系中位魔術、雷撃系下位魔術が浴びせかけられる。けど、そんなことに構ってなんかいられない。
「ぐぁっ!」
突風を利用した移動によってスヴェインを押し倒す。間髪入れずにスヴェインの頭を両手で押さえ込む。
「な、なにをするん……」
スヴェインが言い終わらないうちに紋章の力を完全に解放して直接電撃を叩き込む。今のボクの全力の雷撃系下位魔術だ!!
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
スヴェインが断末魔の叫びをあげた。ボクはスヴェインの絶命を見届けるとそのまま意識を失った。
ボクの名を泣きながら絶叫するレミィの声が聴こえる。だけど、ボクにはそれに応える力も残されていなかった……
そして、深い泥沼に沈んでいくように、意識が遠くなっていくのを感じていた。
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