決戦(スコルゾ討伐戦③)
「追ってきたのがあいつ一人なら殺れるんじゃねぇか!? 俺たちもスコルゾさんに加勢するぞ!」
「おぉ!」
スコルゾの後ろに控えていたならず者たちが各々の武器を手に駆け寄ってきた。
「もう、こいつはオラの獲物だ。手出しすんじゃねぇ。でなきゃ、てめぇらから殺すぞ?」
トゥナムに向けた視線を逸らさず振り返ることなく発したひと声で雑兵の動きを止める。
「大した自信だな」
「クハハハ……。自信というよりも狩る側の余裕だ。手負いの格下相手にお遊びしようってんだ。下っ端を使うこともないだろ?」
獲物を狙う野獣のような鋭い眼光を放つ双眸がトゥナムを捉えて離さない。
「んだよ、こねぇならオラからいかせてもらうぞ」
スコルゾが動く。瞬時にして目の前まで詰め寄られてしまう。ボディブローからの右回し蹴りへと繋がる攻撃に反応が遅れ、防御が間に合わない。蹴り飛ばされて木立に体を打ち付けられ、その反動でよろめく。
「おぉっと、まだ眠るにゃ早いんじゃねぇか?」
攻撃の手を緩めてはくれない。トゥナムは、スコルゾの右手の拳が顔面にクリーンヒットする直前に身を屈める。唸りをあげて頭上を通過する拳に背中に冷たいものを感じる。
「おっ!?」
腰の鞘から抜き放ったレイピアがスコルゾの脇腹にヒットする。トゥナムは確かな手応えを感じた。が、この場にとどまるのは危険だ。次の一撃がくる前に間合いをあける。
「くっ!」
い衣服の下にはやはり黒いチェインメイルを着こんでいたため、先の攻撃はそれを破損させただけだった。
「いやぁ、危ねぇ危ねぇ。こいつを着てなきゃ痛ぇ目をみるところだったぜ。おっかねぇなぁ。おまえさん、思ったより全然強ぇじゃねぇかよ」
スコルゾは一部が裂けたチェインメイルを見ながら愉快そうに笑っている。しかし、油断している今こそ致命的な攻撃を与えるチャンスである。
「おいおい、怖じ気づいちまったか? もっと楽しませてくれよ!」
スコルゾは、トゥナムが積極的な攻めの姿勢をみせないことに不満を口にする。
「しゃあねぇな……。またオラからいかせてもらうぜ」
スコルゾから再び攻めてくる。左ストレートに続いての右ストレートを紙一重でかわすも更なる追撃が繰り出される。跳躍したスコルゾは両手に一つずつ作り出した火炎の球を投げつけてきた。2発の火炎系下位魔術を防御魔術する。
今度はトゥナムから仕掛ける。着地して身構えるスコルゾに3発の雷撃系下位魔術を次々に発射する。
「この程度の攻撃なんぞ!」
素早い身のこなしで雷球をかわし、またしても火炎の球を投げつけ反撃してくる。魔力の代わりに腕力を使って射出する火炎系下位魔術は勢いとスピードはある。が、燃焼に使う魔力が十分ではないため火力に乏しく、防御魔術することで完全に無効化できた。
これまでの戦いで判明したことは、スコルゾの戦闘スタイルは肉弾戦を得意とした格闘家タイプ。魔力による攻撃はそれほど得意ではないようだ。トゥナムはその辺りに勝機を見出だす。
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