決戦(スコルゾ討伐戦②)
木陰からそっと様子を窺う。ならず者たちは森を抜け、チセーヌに集まっていた。その集団の中心で大男が腕組みをして立っている。
「そんで、おめぇたちは逃げてきたってわけかよ。ったくよぉ、だらしねぇ奴らだなぁ」
大男はため息混じりに吐き捨てる。
「すんません、スコルゾさん。やつら、思った以上に厄介だったうえにピラックの連中も全くの役立たずばかりでして……」
(彼がスコルゾか)
情報通りの手強い相手だとトゥナムの直感が告げている。
「よせよ。言い訳なんざ見苦しいだけだぜ。んなことよりもだ、そのトゥナムとかいう野郎が頭なんだな?」
「はい、それは間違いありません」
回答を聞いたスコルゾはフンも鼻を鳴らす。
「なら簡単な話じゃねぇか。要は頭を潰しちまえばあとは烏合の衆に過ぎねぇ」
「そりゃそうなんですがね、なんせ、そのトゥナムって野郎がまた強いのなんのって!」
「はん! おまえたちが弱いだけなんじゃねぇか?」
スコルゾはならず者たちを一瞥して見下したように嗤う。
「まぁ、いい。オラはおまえたちと違って強いからなぁ。そのトゥナムって野郎をぶっ殺してやるよ」
「おぉ、ありがてぇ! 頼りにしてますぜ、スコルゾさん」
ならず者たちの表情が明るくなる。
「しかしなぁ、面倒臭いことになっちまったもんだぜ……。これじゃあ、なんのためにオラ一人でここで待機してたのかわかりゃしねぇよ。かと言って、やらねぇと後でスヴェインに説教されそうだしなぁ……。あいつ一人でも互角だってのによぉ、アークデーモンまで連れられていたんじゃ分が悪いってもんさ。あーあ、さっさと終わらせて一眠りしてぇよ」
ボサボサの頭髪を撫でながら愚痴をこぼす。
スコルゾはトゥナムのいる木陰にゆっくりと近付いてくる。トゥナムはそっと腰のレイピアに手を伸ばし、飛び出すタイミングを見計らう。油断している今ならば致命傷となる一撃を与えられるかもしれない。
「んでよ、さっきからそこに隠れているあんたがトゥナムか?」
スコルゾは不意に歩みを止めた。存在がばれているのならば隠れる意味はない。トゥナムはスコルゾの前に姿を見せる。
「よくわかったな」
「まぁな。うまく気配を消していたようだが、他の奴らはごまかせてもオラには通用しなかったってこったな」
当然だとばかりにニヤリと口角をあげるスコルゾ。それとは対照的に周りのならず者たちは驚愕していた。
「さすがはスヴェインが一目置いているだけのことはある、ということか」
「そういうこったな。オラたちの話は盗み聞きしてたんだろ? つうわけで、悪ぃんだけど死んでもらうぜ」
身構えたスコルゾからただならぬ殺気がほとばしる。見たところ武器は手にしていないようだが断定はできない。暗器の類の使い手という可能性はある。レイピアに手をかけて相手の動きを注意深く観察するトゥナム。
格上の敵といかに戦うか。トゥナムはかつてない強敵との対峙に緊張の糸が張り詰めるのを感じる。
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