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魔王様の大冒険  作者: 美山 鳥
第8章 フォラス解放戦
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決戦(拠点洞窟防衛戦⑧)

 戦況はスヴェイン一派が圧倒的に優勢だ。無理もない。戦闘に不慣れなチセーヌの村人がならず者たちを相手に奮戦しているうえに、指揮官となる者がおらず、また、個々の戦闘能力においても敵方が上回っている。このままでは全滅するのも時間の問題だった。


 「ピラックの民たちよ! もはや迷っている時間はない。勇者ベレグとともに我々に力を貸してほしい。魔王ルベタはスヴェインの野望を砕くために命を懸けて戦っているのだ。自分たちが見たルベタを思い出せ! それは決してスヴェインの言うような悪ではなかったはずだ。誰かに言われた情報のみではなく、自らの信ずるものに従うべきではないだろうか!? わたしは諸君らの決断を信じている!」


 それだけ言い残し、トゥナムは苦戦を強いられているチセーヌの村人たちの元へと急ぐ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「すまない。遅くなってしまった」

 トゥナムは、チセーヌの民たちに声をかける。途中、ならず者を幾人か倒してきたが不利な状況は変わらない。既に多くの犠牲者が出てしまっている。


 「負傷者は洞窟の奥で手当てを受けよ。まだ戦える者はわたしと共にここを死守するぞ!」


 「トゥナム様、ピラックの奴らは何をしてるんです!?」


 チセーヌの村人の一人が訊いてくる。自分たちだけが戦っている現状が不満なのだろう。


 「彼らは彼らで悩み、迷っているのだろう。もう少し待ってやってほしい!」


 さらに数人のならず者を片付けつつ答える。


 「ですが、オラたちだけじゃ長くはもちません!」


 「今は彼らを信じて待つのだ。必ずやわかってくれるはず!」


 チセーヌの村人は懸命の説得にも納得できない様子ではあるが何も言ってこない。トゥナムは指揮官としての己の不甲斐なさを痛感させられていた。


 そうしている間にも解放軍の犠牲はどんどん増えていく。これ以上の犠牲者を出すわけにはいかない。左手をかざして雷撃系上位魔術ライトニングアローを5発連射する。雷の矢はならず者たちを次々と仕留めていく。続けて、向かってくる敵勢をレイピアの切っ先で喉元を正確に切り裂く。


 「大丈夫か!?」


 倒れている味方に声をかける。出血は多いが息はある。しかし、意識がないのか、ぐったりとして動かない。トゥナムはすぐさま回復魔術を施す。


 「おぉ…トゥナム様……ありがとうございます!」


 意識を取り戻した男が謝意を伝えてくる。


 「かまわん。それより直ちに奥へ待避するのだ」


 あれだけ出血していれば戦線に出るのは難しいとの判断から男には撤退の指示を出す。


 「まずいな…」


 戦況はますます悪くなっていく。解放軍の半数以上の者が死体となって横たわっている。だが、ここで諦めるなどできるはずもない。


 周囲の敵を手早く倒し、レイピアを地面に突き刺して両手を前方へとかざす。高めた魔力で10本の炎の矢を作り出して発射する。放たれた火炎系上位魔術フレアアローはならず者たちを火だるまにして絶命させていく。


 「くそっ、あの野郎をなんとかしねぇとまずんじゃねぇか!?」


 「先にやつを始末しろ!」


 トゥナムを危険視したならず者たちが一斉に襲いかかる。しかし、それこそトゥナムの狙いだ。敵の注目が集中することでほかの者への被害は大幅に抑えられると考えたのだ。


 トゥナムは敵勢を迎え撃つべく再びレイピアを手にとって構えた。

いつも読んでくださってありがとうございます。

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