決戦(拠点洞窟防衛戦⑤)
今話はトゥナムの視点で書いています。
ベレグの勇気に賭けてみたが当てがはずれてしまった。
「ベレグ兄ちゃんのバカヤロー! なにが勇者だ! 悪いやつの言いなりになってるだけじゃんか!!」
いつの間にか表に出てきていたポポルが大粒の涙で頬を濡らしながら叫ぶ。
「うるさい! おまえみたいなガキに勇者の何がわかるってんだ!? おまえたちこそ人間のくせに魔王の味方をするなんておかしいだろ!?」
「ベレグこそどうして魔族や魔王が悪だって断言できるの? 少なくともルベタはわたしたちのために戦ってくれてる。わたしだってこの間まではルベタのことを信じてあげられなくて、酷い裏切りをした……。でも、今ならはっきり言える。ルベタは魔王かもしれないけど悪なんてことは絶対にない!!」
真っ直ぐに見つめ返すレミィには迷いは一切ない。ベレグは言葉を詰まらせる。
「では、ルベタがアークデーモンを使役しているのはなぜだ? この事実は勇者ベレグ殿が証言しているのだぞ?」
黒ずくめの男ザグムが再び口を開く。
「それは……ベレグが嘘を言っているからよ。ルベタは魔界のモンスターなんか使役していない。ねぇ、ほんとのことを話して! ポポルはね、ベレグが勇者になって本当に喜んでたわ。自分たちの村から勇者が誕生したって。そして、いつかは強くなってベレグの仲間になるんだって言ってたのよ! 勇者になったベレグにはわたしたちにはわからない苦労もあったんだと思う。でもね、今のあなたの姿を目にしてポポルがどんな気持ちなのかわかってあげてほしいの!」
レミィの言葉にも沈黙し続けるベレグ。明らかに激しく動揺している。
「まぁ、いいだろう。あくまでも魔王の肩をもつというのならばしかたない。このまま一気に攻め落としてくれるわ。さぁ、ベレグ殿。攻撃の合図を!」
「あ……ああ……」
ベレグは躊躇っている。
「ちょっと待ちな。スヴェインは自分に従わないやつらを処刑しちまったじゃねぇか。そんなやつのことを信用できるのか!?」
これまで沈黙していたラルバンが発言する。
「あれは領主に就任したベレグが命じたことだろ。スヴェインさんは俺たちを守ろうとしてくれたそうじゃないか。ラルバン、あんただってそう信じてたはずだ」
ピラックの住人の一人が反論する。
「たしかにな。だがよ、俺はガボとの戦いを経てようやく真実を知ることができた。それに気づいたスヴェインは俺を消そうとしやがった。このことはチセーヌやピラックでも話したとおりだ」
「ああ、たしかに聞いたさ。だけど、あんた自分が魔王ルベタに洗脳されてる気づいてないだろう?」
スヴェインを信頼しきっているピラックの住人たちは信じようとしていない。ラルバンが洗脳されたというのもスヴェインが吹き込んだことである。
「俺が洗脳されてるだと? おまえさんたちこそスヴェインを信じすぎだぜ。そもそも従わないピラックの住人を処刑したのはスヴェインなんじゃねぇのか? 黙ってないで答えたらどうだ? それとも濡れ衣を着せられたままでもいいってのか?」
ラルバンは沈黙をとおしているベレグに話を振った。
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