決戦(拠点洞窟防衛戦②)
ただ待つだけの時間というのは長く感じるものである。ルベタが出発してから半日が過ぎようとしていた。
「戦闘に民間人まで巻き込むとは随分と厄介なことをしてくれる」
トゥナムは洞窟の土壁に背中をあずけながら独り言を呟く。戦闘となれば島民同士で殺し合うことになる。そんな悲劇の筋書きを仕組んだスヴェインのやり方に激しい憤りを感じていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「トゥナム様! スヴェインの仲間たちが大勢でこちらに向かってきております!!」
フロアに駆け込んできた人物の報告に一同の表情が堅くなり、緊張感が一層高まる。
「そのなかにはスヴェインの姿は?」
「いえ、確認できませんでした。指揮官は勇者ベレグではないかと思われます」
「ベレグ兄ちゃんが!?」
報告を聞いていたポポルが声をあげる。憧れの存在だったベレグが敵軍の指揮官だという事実に大きなショックを受けているようだ。
「勇者ベレグ、か。どうにか交渉の場を設けたいところだな」
「難しいですな。スヴェインの連れてきた腕利きどもも加勢しているでしょう。となれば激戦になるのは間違いありません。そのような状況下では……」
報告を聞いてやってきたラルバンが沈痛な面持ちで発言する。
「ベレグ兄ちゃんのこと、見損なったよ……。あんなやつの味方するなんて最低だ!」
ポポルは両手にそれぞれ拳をつくって身を震わせている。
「まぁ、その、なんだ……。できるだけ捕縛するからよ!」
ラルバンなりの精一杯の励ましなのだろう。
「ベレグも心底からの悪人というわけではない。話すことができればこちらの味方に引き入れることもできる可能性はある」
「トゥナム様、ラルバンのおっちゃん……」
涙を浮かべた両目でトゥナムとラルバンを見つめるポポル。
「よし、そうと決まれば気合いを入れて行くとするか!」
ラルバンは沈んでいる場の空気を変えようと敢えて声高に言う。
「わたしも同行してもかまわないだろうか?」
「トゥナム様がですかい? そいつぁ危険過ぎますぜ」
わたしの提案にラルバンは反対の意思を示す。だが、わたしも引き下がるつもりはない。
「ラルバンの気持ちはわかる。しかし、ベレグが率いている隊にはピラックの住民も多くいる。彼らはわたしが生きていることを知らないはずだ。ならば、わたしが説得することで味方になってくれる者もいるだろう」
「そいつはいい! 相手の戦力を削げるうえにこっちの戦力を増やせる」
「その通りだ。それに、フォラスの住民同士が争って犠牲を出すのは最小限にしたい」
「わかりました! トゥナム様は俺が命に代えても守ってみせます」
ラルバンが一転して賛成した。
「それには及ばんさ。わたしとて魔術と剣術を修得している。足手まといにはならんよ」
「そうでしたな。では、当てにさせてもらうとしましょうか」
ニカッと笑って差し出されたラルバンの手を、トゥナムは力強く握手を交わした。
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