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導かれる者  作者: タコヤキ
第二章:未熟者
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第二十話:夢見

毎週月曜日の十二時に更新予定です。

『貴方のお母様には、私と同じ祖先の血が流れているのです』

 儚くも美しい少女は言った。

『だから貴方も、いづれは魔法を覚えるでしょう』

 繋いだ手に力が込められる。

『次にお逢いする時には、お互いの魔法を確かめ合いましょうね』

 静かに微笑んだ。


『また、お父様のご先祖には、珍しくドワーフのお方がいらっしゃいます』

 長椅子に並んで座り、頬を朱く染めた彼女は囁く。

『とても頑強な身体に育つことでしょうね』

 彼女の肢体は華奢で細長く、強く抱き締めると折れてしまいそうだった。




『ねえ、貴方のことを、もっと教えてくださいな』

 甘い木の実とフルーツを楽しみながら、彼女は色々な話しをせがむ。少年はその期待に応えるため、これまでに経験してきたことを思い出した。

『……そう、沢山歩いて、多くの人に逢い、様々な土地を見て回ったのですね』

 旅商人である父親に連れられて、故郷の港町を出てからここへ辿り着くまでのことを伝えたのだ。


 彼は犬が好きだった。

 父親との行商に付き従う家族同然の存在であり、頼もしい仲間でもある。

 老犬のダディと若いボーイの二頭は、常に馬車の前後を守っていてくれた。特に老犬のダディには、彼が間違ったことをすると叱られていたのだ。グルル、と唸りながら牙を剥き出して睨む。しかし、それは彼が誤って怪我をしないように、いつも優しく注意してくれていたのだった。


『そうなの、素敵な家族だったのね』

 少女は我がことのように喜んでくれる。

 嬉しくなった少年は、自分が興味を持ったことや驚いた出来事等を話す。上手くおだてられていることに半ば気付きながらも、少女の笑顔と笑い声に引き込まれていたのだ。

 それは、とても幸せな時間だった。



◇◇◇



『おはようございマース!』

 今朝もフェアリーはご機嫌だ。


「お早う」

 夢を見た日には、いつも声に出して挨拶することに決めた。




続く

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