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第百十話:加護
第十一章は奇数日の十二時に投稿します。
『幾つになっても迂闊な娘ね』
儚げな少女は、優しく失言を窘めた。
『前の時もそうだったわ』
少女らしくない、疲れた表情を見せる。
世界樹と記憶を共有するハイエルフは、代替わりしても数千年の情報を引き継ぐのだ。今の少女もエルフとしては肉体年齢こそ若いが、その共有された記憶を経験として理解していた。
『山の神様にも気に入っていただけたのは、予想通りでしたね』
手鏡に映るのは、フェアリーの視覚情報だ。
『鳥居にできた新しい温泉へ、私も一度は行ってみましょうか』
ハイエルフも温泉好きだった。
『神獣からも信頼を得られたので、暫くの間は安心できます』
有形無形の加護が期待できる。
『周囲とのギャップに慣れるまで、イベントは控えておきましょうね』
独り言のように呟いた。
◇◇◇
『夏は暑いデスヨ』
『日焼けしちゃうわー』
『睡眠が重要でござる』
カークの仲間は暢気だ。
続く
第十二章は毎週月曜日の十二時に投稿します。




