第十話:約束
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『もう一度、きっと逢いに来てくださいね』
美しい少女は儚げにそう呟くと、優しく彼の胸に両手を添えた。
少女の真っ直ぐで流れるような輝く金髪は、透明感のある白い肌へ美しく映り込んでいる。綺麗に湾曲した眉とカールした長い睫毛が特徴的だ。
彼を見上げて垂れ目になっているが、左右対称で均整の取れた瞳は微妙に内斜視である。
丸い額から窪んだ眼窩を通り、小高い頬と小さな顎まで繋がる曲線は、人には作り出せない美を現していた。
『貴方が約束を忘れてしまわないように、この娘を連れて行ってもらいましょう』
少女が掌を上に向けて右手を挙げると、周囲をふよふよと漂っていたフェアリー達の中から一人が寄ってきて座る。
キラキラと七色に輝く光の粒子を身にまとうフェアリーは、バランスの良い九頭身でスレンダーな大人のスタイルをしていた。
『お任セアレ!』
そのフェアリーは両手の握り拳を胸元に寄せて力強く宣言するが、三十センチほどの小さい身体なのでとても可愛い。
『では、お願いしますね』
少女の言葉に頷いたフェアリーは、アゲハ蝶に似た羽根をパタパタさせて飛び上がる。優雅な動きで彼の元へ辿り着くと、元気よく両手を挙げて挨拶してくれた。
『これから宜しく頼みマスヨ!』
そんなフェアリーに彼は微笑みを返す。
「また来るよ」
少女に囁き、優しく肩を抱いた。
紅く染まっている彼女の尖った耳の先端が、微かに震えているのを愛おしく感じる。
◇◇◇
『お早うございマース! 出発の朝デスヨ!』
今日も元気なフェアリーが、カークを心地好い夢から目覚めさせた。
「お早う」
珍しく声に出してフェアリーに応える。
「忘れてはいないさ」
彼はポツリと呟いてから、ゆっくり起き上がった。
続く