お悩み相談
俺の働いてる店は路地の奥にある古臭くてレトロな店だけあってふらっと入ってくる客はあまりいなく、多くは常連客だ。
長いこと働いているとその常連客の人とは顔見知りになりちょくちょく会話なんかしたりする。
そして俺はこの店に来る客のウエイター兼お悩み相談係りとしても重宝されている。
今日も客の相談を聞かなければ。
1年くらい前からちょくちょく顔を見せる、たぶん俺よりちょっと年上のサラリーマンの客、話すよう
になったのは最近の事だ。
「小池君ってさ、彼女いる?」
へらへらした顔で聞いてきた。
「一応いますよ」
「いいね~。プリクラ見せてよ」
めんどくさかったけど客相手なので笑顔で要求に応じた。
「かわいいじゃん。ラブラブ?」
より一層へらへらが増した。
ちょっとむかつくけど笑顔は忘れない。
「いや、一応付き合っているだけで俺はそんな本気じゃないです」
「そっかー」
ひやかしてくるのかと思ったけど、いきなり落ち込んで静かになってしまった。
「・・・」
少しの沈黙が続いた。
なんかいけないこと言ったか?
「そういうのも楽しいかもしれないけど、やっぱちゃんと付き合ったほうがいいよ」
客はどこを見てるかわからない目でボソッと言った。