・はじまり
着信・・バイト先からだ。
何だろ?
「もしもし小池君?田中だけど」
店長からだ。
「何ですか」
「悪いんだけど今日の夜出られないかな? ほら、最近入った新人君が無断欠勤してさ、連絡取れないんだよ」
あぁ〜あいつか。
まぁやる気無かったしすぐやめるだろうとは思ってたけど。
「いいですよ、丁度暇してたんで」
「ホント?いや〜助かるわ、小池君に頼んでよかったよ。じゃあいつも通りの時間でお願いね」
「わかりました、じゃあ後で」
俺が喫茶店のバイトをはじめていつの間にか2年が経っていた。
レジや発注なんかも任されていてバイトの中では結構頼られている。
その割にはバイト代は入った当初とあまり変わらないし、さっきみたいにいきなりシフトに入れられる事もあるけどなんだかんだで今の仕事は気に入っている。
ここでバイトをはじめるきっかけは偶然だった。
大学に入って一人暮らしをはじめた俺はとにかく金が無かったのでどこでもいいからバイトを探していた、丁度そんなときにこの喫茶店を見つけた。
裏路地にひっそりと営業していて、見た目はレトロでいかにも昔からやってますって感じ。
そしてアルバイト募集の張り紙が貼ってあった。
そのレトロで古臭い感じが気に入りすぐにそこに決めた。
そろそろ時間だ。
バイト行かなきゃ。