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貧乏国家の黒字改革〜金儲けのためなら手段を選ばない俺が、なぜか絶賛されている件について〜  作者: 空野進
第三章、国力を上げよう

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国力を上げよう

 無事にブライトを下すことが出来た。

 あまり兵を動かさずに平定できたのは大きいだろう。


 そして、ここまでくるとあとは簡単だ。

 たかが貴族一人の力では対抗できないと言うことを十分に示すことが出来ている。

 こうなってくると、あとは戦わずに下すことも出来そうだ。



「イグナーツ、ちょっといいか?」

「はっ。アルフ様、いかがなさいましたか?」



 側にいたイグナーツが恭しく頭を下げてくる。



「ちょっと危険な依頼になるが引き受けてくれるか?」

「もちろんでございます。して、その内容は?」

「裏切った貴族たちに手紙を届けて欲しい。そして、その返事を聞いてきてくれ。ただ、命を狙われるかもしれん。十分注意をしてくれ」

「かしこまりました。このイグナーツ、命に賭けてこの仕事を完遂して見せます」

「いや、絶対に死なないでくれ。イグナーツ(おまえ)という戦力がなくなる方が俺にとっては痛手だからな」

「はっ。アルフ様の期待に添えるように力を尽くさせていただきます」



 再び頭を下げてくるイグナーツ。

 俺から手紙を受け取るとそのまま部屋を出て行こうとする。


 ただ、そのタイミングでイグナーツの格好がおかしいことを気づいてしまう。



「あのな、イグナーツ。せめて服は着て行ってくれ。俺の名代を務めてもらうわけだからな」



 ため息交じりにイグナーツに告げる。

 鎧を着ていてそこまで目立ってはいなかったが、背を向けたときに何も着ていないことに気づいてしまった。



「それは大丈夫です。任せておいてください」



 イグナーツが自分の胸を叩いていたが、どうにも不安しか残らなかった。



 ブライトの領が増えたことで食糧の問題が再浮上してくる。

 万全なブライト領ならばそこまで大きな影響は出てこなかったのだろうが、半壊してしまった今のブライト領に自給自足させるのは難しい。

 それを考えると農業の仕方も改めて考える必要がある。


 今はジャグラの指示の下、一年に一度作物を収穫している。

 しかし、今のこの国の限られた農地を考えると畑を休ませている時間があるというのはもったいない。

 せめて、一年に二回作物を収穫できるようになれば食糧問題もグッと解決する。

 しかし――。



「だめだ、だめだ! そんなことをしたら栄養が減り、畑の地力がなくなってしまう。一時的に収穫を増やすことが出来たとしても将来を見るとデメリットが大きすぎる」



 ジャグラに相談をしてみると彼は必死に反対をしてくる。



「その一時的な収穫量を増やしたいんだ。せめてブライト領の復興が終わるまで――」

「くっ、そういうことか。ほぼ壊滅的って言ってたよな? 確かに飯が食えなくなると領内が荒れたり、余計な病気が流行ったりする。――わかった。確かに複数の収穫が必要になりそうだ。やり方は俺に任せてくれるか?」

「あぁ、細かいところの調整は俺よりもジャグラの方が向いている。あとのことは任せたぞ」

「任せておけ。最大限の収穫量を保ってやる」



 腕まくりをして、己が力を見せつけてくるジャグラ。

 すっかりこの国に慣れているな。

 優秀な力を持っているわけだからその方が俺としても助かるが――。





「さて、次は――」



 帝国に対抗するために兵力を整えることか。

 今は帝国から来た使者のフルールがこの国の内情を伝えているのだろう。


 すぐに襲ってこないところを見るとまだ脅威とは思われていないようだ。

 その間になんとか兵力を強化しておきたい。


 しかし、騎士団長のイグナーツは別の依頼で旅立たせたところだ。

 イグナーツに変わり、帝国にバレないように兵を鍛える方法……。

 一つしかないな。


 俺は大きくため息を吐いて、冒険者ギルドへと向かっていった。



「がははっ、相変わらずシャロの飯はうまいな」



 冒険者ギルドに来ると相変わらず大声を上げる魔王の姿を見かける。



「……はぁ、やはりここにいたか」

「よう、アルフか。邪魔させてもらっているぞ」

「――約束だからな。それは構わないが、俺も魔王に頼みたいことがある。ちょっといいか?」

「ダメだ!」



 魔王から即答で断られてしまう。

 まだ用件は言っていないが、魔王なら予測していてもおかしくない。

 やはり、難しいことなんだろうな。他国の兵を預かって鍛えてもらうことは――。



「そこをなんとか頼む」

「シャロの飯より優先するものなんてない。いくらアルフといえど、これを渡すわけにはいかん!」

「……はぁ?」



 まさか魔王はシャロが作った飯を取られると思って断っていたのか?

 魔王の表情を見る限りだと、本当にそう思っているようだった。



「いや、それは好きに食べてくれ。全く別の要件だ」

「なんだ、それならそうと早く言ってくれ。勘違いしただろう?」

「……勝手に魔王が勘違いしただけだろ」



 大きくため息を吐いたあと、俺は魔王が食事を終えるのを待っていた。

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